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【税務調査を逃げ切った】調査は回避できるのか徹底解説

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この記事の監修

税理士:中瀬 渉(なかせ わたる)

元国税局特調班チーフで、7年間特別調査を指揮し、計24年間税務調査に従事した経験を持つ税理士。 深い専門知識と実績を活かし、税務調査に特化したセカンドオピニオンサービスを提供しています。

税務調査が来ることになった事業者の中には、できることなら調査を回避したいと思っている方も多いはず。
ネット上には「税務調査を逃げ切った」なんて言っている自称事業者もいます。

この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?

結論から言いますと、税務調査から逃げることは不可能で、逃げ切ったという場合は罰則が発生します。

本記事では、以下の内容を解説していきます。

【逃げ切れる?】税務調査は2種類

税務調査には強制の税務調査と任意の税務調査の2種類があります。
それぞれの特徴を理解して、税務調査に備えてみてください。

①強制の税務調査

強制の税務調査、通称「強制調査」ですが、これは税務署が独自に行う調査ではなく、裁判所の令状を通して行われる国税局の査察部(通称「マルサ」)が実施する査察調査となります。


なぜなら、裁判所を巻き込むほどの脱税容疑に対する刑事責任の立証を目的とする調査だからです。

不正を働いている事業者に対し、事前通知した上で調査に立ち入るとしたら、不正の事実を隠ぺいされる可能性があり、過去の税務書類一式を事前に破棄されてしまったとすると、調査がとても困難になります。

ある日突然来るという特性上、事業者は査察調査を逃れることは非常に困難です。
査察調査は強制調査であり、調査に応じなかったり協力しない場合は、逃亡すると判断され、身柄を拘束されます。

国税局は相応の証拠を掴んだ上で調査に入ります。
そのため、ことも考えておきましょう。

②任意の税務調査

任意の税務調査、通称「任意調査」は来訪日を事前通知され、事業者の同意のもとに行われます。

任意となっていますが、税務調査官は納税者に対し質問検査権を持っているため、

一般的には事前通知があった上で調査に入りますが、税務資料の隠ぺいや逃亡の可能性などがある事業者に対しては、事前通知なしで調査に入ることもあります。

特に飲食店や水商売など、現金を扱う店舗の場合は、売上が正しく計上されているか確認するために事前通知なしで調査に入ることが一般的です。

実地での調査は2〜3日程度かけて行われ、

税務調査を拒否するリスク

税務調査は拒否できませんが、どうしても受けたくないからといって逃げてしまう事業者がまれに現れます。
しかし、絶対に後悔するので、税務調査の連絡があった場合は必ず受けてください。

税務調査を拒否した場合に発生するリスクについて覚えておきましょう。

①罰則対象となる

税務調査は、税務署が法律で認められている権利です。
これを拒否した場合、国税通則法第百二十八条に以下のような罰則が定められています。

引用:e-Gov(国税通則法)

つまり、税務調査を拒否したり調査から逃げようとした場合、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が発生するということです。
また、調査官の質問に嘘をついた場合も同様の罰則が発生します。

②前科がつく

税務調査から逃げることは法律違反です。
税務署独自のルールではなく、国が定めた法規的措置であるため、

前科がつくということは、あらゆる面で自分自身にも不都合が発生する上に、家族や親戚にも少なからず影響を及ぼすこととなるのです。

③青色取消しになるケースがある

税務調査では、調査官が求める提示資料の開示を行わないだけでも青色申告取り消し対象として処理されることがあります。

青色申告を取り消されてしまうと、

これらの青色申告事業者が受けられるメリットを一切受けられません。
しかも、取り消しから1年間は再申請できなくなり、翌々期まで欠損金の繰越を受けられないのです。

④反面調査を受ける

税務調査から逃げてしまうと、あなた自身の事業を調査できません。
しかし、申告資料から取引先が分かってしまうため、あなたの事業に携わる部分から調査を行う「反面調査」が行われます。

これは取引先だけではなく、従業員や家族という「あなた以外」を対象として行われる調査であるため、周囲からの信用は一気に崩れてしまうことでしょう。

⑤税務署に税額を決められる

申告内容に不正があると分かった上で税務調査から逃げるわけですが、ここで逃げたとしても納税義務がなくなるわけではありません。
むしろ、正しく税務調査を受けた方が納税額は適正価格で納めるだけで済みます。

税務署は、納税者の税額を「更正」する権利を持っているため、万が一事業者が税務調査から逃げてしまった場合にものです。

税務調査を受けて申告誤りが発生した場合、適正価格で税額が課されるのですが、逃げてしまった場合は税務署の推計で税額が決まってしまうことを覚えておきましょう。

実際よりも多い金額で税額が決まってしまったとしても、一旦は、その税額を納付する必要があり、納付できない場合は、

「逃げ切れる」は本当?税務調査が時効になるケース

ネット上にある「税務調査を逃げ切った」という内容は、そのほとんどが嘘だと思った方が良いです。
基本的には税務調査から逃げることはできませんし、逃げても良いことはありません。

しかし、それでも「逃げ切った」という投稿があることから、仮に逃げ切った人が何を根拠に逃げ切ったとしているかを考えてみましょう。

時効制度で逃げ切った

税務調査は最長7年までしかさかのぼれません。
これを逆手にとって、7年逃げ切れば時効として税務調査を逃げ切ることは可能でしょう。

海外へ転出した

日本の税制から脱出した場合も、逃げ切ったと言えるのかもしれません。
戸籍の抹消や国外逃亡の方法を持っているのであれば可能かもしれません。

しかし、海外にいる間は時効期間として認めないという法律があるので、仮に3年目で国外に逃げて10年後に戻ったとしても、時効の期間としては3年目からリスタートするわけです。

死亡した

事業者本人がいなくなってしまったら、納税したくてもできないため逃げ切ったと表現できるかもしれません。

ネット上に投稿できている時点で死亡はしていないため、完全に逃げ切った人の言葉ではないと考えられます。

時効期間はリセットされる

税務調査から逃げ切ったという場合でも、実は逃げ切れていないケースがほとんどだと覚えておきましょう。

税務署が事業者に対し納税を促す督促状を時効期間内に出した場合、これまでの納税の時効期間がリセットされます。

今後の税務調査を回避するためのポイント

もし今後、税務調査を本当に回避したいのであれば、これからお伝えする3つのポイントを押さえてみてください。

①正当に確定申告と納税を行う

正しく確定申告している事業者であれば、多くの場合税務調査の対象から除外されます。

なぜなら、問題のない事業者を調査する時間自体がムダになってしまうため、税務署のシステムにヒットしなくなるからです。

調査官が個別にピックアップする場合はこの限りではありませんが、正しい資料によって確定申告や納税が行われている事業者は、税務調査がくる確率がそもそも低くなります。

1年間で調査が実施される割合は、

警察がスピード違反の車を全件取り締まれないのと同じで、より大きな申告誤りがあると想定される会社から優先して税務調査は実施されているのです。

税務調査の必要性を減らす努力をしてみてください。

②領収書などを保存する

税務調査を回避できなかった場合でも、領収書などの調査資料を正しく保存できていれば何も心配ありません。

提示を求められた資料をすぐに用意できるような事業者の場合、手当たり次第、取引先に反面調査を実施されるということもなくなります。

税務署に信頼されるような状況を作っておけば、万が一税務調査が来た場合でも早期に調査が完了します。

③税理士に相談する

そもそもの税関係を税理士に任せてしまえば、税務調査を怖がる理由がなくなります。
個人や自社によって確定申告や納税を行なっている事業者よりも、税理士が関与している事業者の方が問題が起きづらいことが分かっているのです。


税理士との付き合いは、税務調査を回避する最短ルートとなるでしょう。

まとめ

税務調査から逃げ切ることはできません。
時効を狙って長期間逃亡生活を送ったとしても、税額を更生され、たった1枚の納税の督促状で逃亡期間がムダになってしまいます。

任意調査は、決して「任意」ではありません。

そして、強制調査が入るような不正をしないようにお願いします。

税務調査を逃げ切ったという噂に惑わされず、まずは正しい申告を心がけてください。
そして、税務署に疑われないためにも、税理士との付き合いを持ってみましょう。

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