税務調査が10年以上来ない会社は安心?来る会社との違い
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「開業後に1度も税務調査を受けていない」
- 「忘れた頃に追徴課税がくるのでは?」
結論から言いますと、10年以上税務調査が来なくても不安になる必要はありません。
しかし、いつ税務調査が来てもおかしくない状況だと理解しておきましょう。
フリーランスや小規模事業者の方で、税務調査が来ない理由を知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
【10年以上来ない】税務調査で選ばれる確率
国税庁が令和4年12月に発表した令和3年度の税務調査率では、法人1.3%(4.1万件/306万件)、個人0.5%(3.1万件/653万件)でした。
コロナ禍以前では、法人が約3%、個人は約1%となっておりました。
コロナが明けて以前と同じくらいの件数の税務調査が実施されていることが考えられます。
税務調査がくる可能性を年数で表すと以下のようになります。
法人 | 33年に1度 |
個人 | 100年に1度 |
そもそも頻繁に税務調査がくるわけではないのです。
法人は4〜5年ごとに税務調査を受けていると言われますが、申告内容に疑問点がなければ調査対象から外れていると言っても良いでしょう。
個人事業主やフリーランスの場合、一生のうちに一度も税務調査を受けない方が一般的なのです。
税務調査が10年以上来ない会社と来る会社の違い
税務調査が来る会社と来ない会社では、事業内容や事業実績に差があることが多いです。
また、申告した決算情報の整合性も、調査が必要かの判断に影響を及ぼします。
10年以上税務調査が来ないで不安を感じているなら、これからご紹介する「税務調査が来やすい会社の特徴」とご自身の事業を照らし合わせてみてください。
①対象になりやすい業種でないか
税務調査が来やすい業種としては、以下が挙げられます。
- 1.水商売、風俗業
- 2.経営コンサルタント、システムエンジニア
- 3.運送業
この中でも水商売・風俗業は圧倒的です。
国税庁が公示している情報に、脱税額と追徴課税額のランキングが掲載されています。
上位に位置する業種ほど税務調査の対象にされやすいです。
風俗業は、領収書のやり取りが頻繁ではなく、現金でのやり取りが多くなるために脱税しやすい業種といえます。
水商売は、コロナ禍の前までは、不正を行っている率の高い業種の不動のナンバー1です。
次に上位に位置するのが経営コンサルタントやシステムエンジニアです。
比較的高額な依頼料が動く事業でありながら個人事業主が多く、自分で確定申告を済ませている確率が高いため、申告内容が間違っていることで上位に位置しています。
他にも、IT分野の業種は同様な理由から税務調査の対象になりやすい業種です。
②利益率が高いか
瞬間的に利益が上がるような場合も狙われやすいですが、毎年の売上が上がっている一方で利益率が「下がっている」場合も税務調査の対象になりやすいです。
反対に、利益率が高い場合は税務調査が来ない確率の方が高いでしょう。
なぜなら、売上が上がっている場合には、利益率が下がっているから景気が悪いとは思われず「意図的に利益隠しをしているのでは?」と疑いの目が向いてしまうからです。
現金商売などで、粗利率・営業利益率・経常利益率が、それぞれ年々下がっている場合は売上の一部を計上していないと判断されて税務調査のターゲットにされているでしょう。
③売上や経費に異常な変動がないか
急激な売上や経費の変動は、税務署の目に留まりやすい情報です。
特に、特定の経費が急増している場合は、税務調査の対象になりやすいと言えるでしょう。
経費が増えるのは、事業拡大や経営方針の見直しのために必要なプロセスです。
しかし、これが売上の減少につながることは少なく、横ばいもしくは微増となる傾向が見られると考えられます。
経費増加と売上減少が確認できると、経営実態そのものが疑わしくなるため、税務調査の対象となりやすいのです。
④そもそも税務申告しているか
確定申告していなければ税務調査が来ることはない!
そう考える個人事業主やフリーランスが一部存在します。
実際には、取引先が確定申告をしているため、どの小規模事業者に対していくら支払われているかは把握されているのです。
つまり、自分が税務申告していなくても、税務署は所得隠しを把握していて、税務調査に入るタイミングを見計らっていることになります。
隠している所得額が小さければ、ある程度の金額になるまで泳がせることもあるようです。
仮に3年程度無申告だった事業者が4年目に確定申告した場合、過去3年分をさかのぼって追徴課税されます。
国税通則法が改正され、無申告の事業者に対して課される無申告加算税について、申告していない税額が高額な場合と無申告を繰り返している場合に、より厳罰化されることが決定されました。
なお、意図的な無申告が発覚し重加算税が発生した場合は、5年ではなく7年さかのぼることになっています。
⑤顧問税理士はいるか
税理士に確定申告を依頼せず自分で行っている事業者は、税務調査の対応を本人に対して求められます。
税理士に依頼している事業者は、1年分の出納資料を渡して確定申告を済ませるため、基本的に申告漏れはないはずです。
そして、顧問税理士がいる場合、毎月の資金流動について都度的確な経理を行ってくれるため、間違いの発生を最小限に抑えることができます。
顧問税理士を雇わず、税理士に確定申告を依頼しない事業者は、税務調査の対象になりやすくなるでしょう。
「税務調査が10年以上来ないから安心」はNG
税務調査が10年以上来ないということは、申告内容に不備がないものと考えられます。
しかし、コロナ禍が明けた今、いつ税務調査が来てもおかしくない状況だということは覚えておきましょう。
10年以上安定した事業内容を申告しているため、これまでの「安定した状況」を税務署では把握できています。
これが急激に変化した場合、税務署が事業実態を調査すべきと判断することがあるのです。
一般的に、過去実績から急激に増収増益となった場合には、税務調査が来やすい状況とは言えません。
売上の増加を正しく申告されているとして、優良事業体として判断されるからです。
問題は「急激な増収減益や景気と逆行した減収」です。
事業状況の確認や、売上を正しく申告をしているかを確認するために無予告調査が来る場合もあります。
税務調査に備えたい方は税理士に相談しよう
10年以上税務調査が来ないのであれば、これまでの申告内容には問題がなかったと考えて良いでしょう。
しかし、税制は日々変わっていることもあり、過去のやり方がいつまでも正しいとは限りません。
また、より良い節税方法が発足されることもあるでしょう。
これらに対応するには、税務関係専門のスタッフを抱えたり、自分自身が情報をアップデートし続けなければならないのです。
今後も税務調査に怯えずにいるためにも、税理士とは良いパートナーシップを築いていくことをおすすめします。
確定申告時期に依頼するだけの関係でも問題はありませんが、事業の資金流動を常に最適な状況で見極められる顧問税理士を抱えておくのも、今後の事業成長には重要なプロセスとなるでしょう。
融資を受ける場合にも、事業計画書の作成などで良いアドバイスを受けられる環境ができます。
税務関係だけでなく、顧問税理士は資金管理のスペシャリストなのです。
まとめ
10年以上税務調査を受けていないからといって、不安になる必要はありません。
しかし、優良事業体だと驕ることも良いことではないでしょう。
税務署は、常に事業者や企業に対する目を光らせています。
また、人の目では見落としてしまうかもしれない調査すべき事業者や企業を的確に判断するシステムを導入していることもあり、あらゆる不審な申告はほぼ把握されているといっても良いでしょう。
より緻密な資金管理をするには、常に事業資金を監視してくれる顧問税理士を抱えるのも良い方法です。
これから先、事業を成長させるためにも信頼できるパートナーが必要になります。
税務関係をしっかりと任せられる税理士を見つけて、更なる成長を目指しませんか?