法人の確定申告の期限は?超過した場合のペナルティについても解説
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「法人の確定申告は個人の頃とどう違うの?」
- 「法人税の申告期限を過ぎたペナルティは?」
結論から言いますと、法人が確定申告しなければならないのは「決算日の翌日から2ヶ月以内」です。申告期限を過ぎれば、加算税も発生します。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 法人が守るべき確定申告の期限は?
- 申告期限を過ぎた場合の対応
- 法人税の申告期限が延長できるケース
小規模法人でも税理士と顧問契約するべきかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
法人が守るべき確定申告の期限は?
法人の確定申告は「決算日の翌日から2ヶ月以内」です。この期限を過ぎると、加算税が発生するので注意しましょう。
そして、法人には収めるべき税金が5つ存在します。
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
- 消費税及び地方消費税
これらについてご説明します。
法人税・地方法人税とは
法人の所得に対して課せられる国税で、「法人の種類」「資本金額」「年間所得金額」によって税率が変動します。
一般的な法人は「普通法人」という括りです。
分かりやすくすると
- 株式会社
- 合同会社
- 有限会社
など、公益法人、公共法人、協同組合、人格のない社団など以外の法人が普通法人として認識されます。普通法人の法人税率は下表をご欄ください。
区分 | 適用関係(開始事業年度) | |||||||
平28.4.1以後 | 平30.4.1以後 | 平31.4.1以後 | 令4.4.1以後 | |||||
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など | 年800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15% | ||
年800万円超の部分 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | 23.20% | ||||
上記以外の普通法人 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | 23.20% |
(引用:国税庁 法人税の税率)
なお、地方法人税は、地方交付税の財源確保のために平成26年に導入された国税で、法人税の額等に4.4%を乗じて計算します。
法人住民税とは
会社を登記した都道府県や市町村に納める税金になります。法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2つの考え方によって構成されており、各自治体によって税率が異なります。
こちらの申告・納税時期も「決算日の翌日から2ヶ月以内」になるので、期限を守って申告・納税しましょう。
詳細な金額については、経済産業省が公示している「法人住民税・法人事業税 税率一覧表」からご確認ください。また、確定申告の際には、各都道府県または市町村に直接ご確認ください。
法人事業税とは
法人として事業所などを設定した都道府県に対し、事業を営むために納める地方税です。
法人事業税は「課税標準額(所得など)×税率」で求めることができます。
こちらの申告・納税時期も「決算日の翌日から2ヶ月以内」になるので、期限を守って申告・納税しましょう。
総務省が公示している法人事業税の考え方は下表の通りです。
法人区分 | 課税標準 | 税率 |
資本金 1億円超の普通法人 | 付加価値額 | 付加価値割 1.2% |
資本金等の額 | 資本割 0.5% | |
所得 | 所得割 1.0% | |
資本金 1億円以下の普通法人 公益法人等 投資法人等 | 所得 | 所得割 所得のうち 年400万円以下の金額 3.5% 年400万円を超え年800万円以下の金額 5.3% 年800万円を超える金額 7.0% |
(引用:総務省 地方税制度 地方税の計算方法)
特別法人事業税とは
令和元年9月30日まで、地方法人特別税という名称で課税されていましたが、令和元年10月1日以降、特別法人事業税という名称で新たに創設された「国税」になります。
創設には法人の事業税の引き下げが背景にあり、地方税である法人事業税と併せて申告・納税しなければなりません。
詳細な金額については、法人住民税同様に経済産業省が公示している「法人住民税・法人事業税 税率一覧表」からご確認ください。また、確定申告の際には、各都道府県または市町村に直接ご確認ください。
消費税及び地方消費税とは
消費税は個人事業主と同じ計算方法にて求められます。
法人の場合、資本金1000万円未満であれば例外を除いて設立事業年度から2年間は免税事業者としての納付免除が許されています。
ただし、インボイス制度に登録した場合には、免税事業者であっても消費税を申告・納税する必要があります。
消費税と地方消費税の違いは、消費税が国税であるのに対し、地方消費税は地方税であるというものです。しかし、納付はどちらも併せた状態での納付となり、本質的には両者揃った状態で「消費税」として認識されているのです。
消費税についても、課税期間末日の翌日から2ヶ月以内の申告・納税が必要です。
申告期限を守らなかった場合のペナルティ
申告期限を守らなかった場合に発生するペナルティについてご紹介します。本来の納税額以上に課税されてしまうため、ペナルティを受けないように注意しましょう。
①延滞税
延滞税は、納付日が「期限翌日から2ヶ月」を境に計算方法が変わります。
・納期限翌日から2ヶ月以内の納付の場合 延滞税の金額=納付すべき税額×延滞税の割合×期限の翌日から完納までの日数÷365 ・納期限翌日から2ヶ月超の納付の場合 延滞税の金額=1で計算した税額+納付すべき税額×延滞税の割合×2か月を経過する日の翌日から完納までの日数÷365 |
延滞税率は「2ヶ月以内は延滞税特例基準割合+1%」「2ヶ月超は延滞税特例基準割合+7.3%」が適用になります。
なお、令和4年1月1日~令和6年12月31日については、「2ヶ月以内は2.4%」、「2ヶ月超は8.7%」となります。
②無申告加算税
申告期限を守らなかった場合には、納税する税額に対して「無申告加算税」という罰金がかかってきます。
税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、無申告加算税は5%ですが、調査の事前通知の後に期限後申告をした場合は、納税額に応じて15%や20%といった高い無申告加算税を負担することになります。
また、税法の改正で、納期限が令和6年1月1日以後は、高額な納税がある場合の無申告加算税が更に30%となるなど、更に厳しくなっています。
万が一、自主的な期限後申告の前に税務調査が入ってしまうと、高額な「無申告加算税」を課せられるでしょう。
仮に500万円の納税が無申告だった場合、以下の条件で課税されます。
1.期限が令和6年1月1日までの申告 ①納める税額の50万円以下の部分(500万円の内50万円) ・50万円×15%=7.5万円 ②納める税額の50万円を超える部分(500万円の内450万円) ・450万円×20%=90万円 ③無申告加算税=97.5万円 2.期限が令和6年1月1日以降の申告 ①1と同じ:7.5万円 ②50万円超300万円以下の部分 ・250万円×20%=50万円 ③300万円超の部分 ・200万円×30%=60万円 ④無申告加算税=117.5万円 |
③重加算税
意図的に仮装や隠ぺいのある申告には、最も重い35〜40%の課税割合となる重加算税が課せられます。
無申告の場合の重加算税は40%の課税割合となり、更に過去5年間で重加算税を課せられている場合、追加で10%上乗せされた50%の課税割合で計算されてしまうのです。
④青色申告取り消し
もし2期連続で期限後申告してしまうと、青色申告が取り消されてしまいます。
この場合
- 30万円未満で取得した減価償却資産を全額使用時に経費計上できる(中小企業者のみ)
- 10年間に渡る欠損金の繰越控除(2018年4月1日以後開始事業年度)
- 欠損金の繰戻還付
- 試験研究費などの場合の特別償却・特別控除
これらの法人税法上のメリットがなくなるため、税制上の優遇が受けられなくなってしまうのです。
⑤信用情報に大きな傷がつく
ここまでご紹介したペナルティを受けることで、企業イメージは大きくダウンします。
その結果、与信が下がることで融資を受けられなくなることもあるのです。最悪の場合、現在ある負債の一括返済を求められることさえあります。
期限を守って確定申告をするためのポイント
申請期限を守らなかった場合、加算税としてペナルティを受けることになります。
さらには、信用情報に傷がつき健全な事業運営に支障をきたすことさえあるのです。
そうならないためにも、期限を守って申告するためのポイントをご紹介します。
①申告期限を把握しておく
法人の申告期限は、法人税、地方税、消費税のいずれも原則として事業年度終了日(決算日)の翌日から2ヶ月以内です。
なお、個人事業主の確定申告の期限は、所得税が3月15日、消費税は3月31日までが申告期限です。
申告期限が土日になる場合、翌月曜日が期限となります。
②日常的な資料作りの徹底
申告期限が近づくまで資料作りをしないという事業者の場合、期限直前になって慌てて対応しなければならなくなり、本来添付すべき領収書などを紛失していることがよくあります。
申告資料は、日常的に整理・作成しておくことが重要です。
リアルタイムで資料作りができていれば、後から添付資料の紛失など心配せずに済みます。
③税理士に相談する
税務申告は、多くの事業者が後回しにしてしまいがちです。なぜなら、直接的に事業に直結しているわけではない上に、かなり手間と時間がかかってしまうからです。
税務申告の書類作成や、日頃の経理資料をまとめるのが面倒だと感じるのであれば、税理士に全てを一任してしまうのが良いでしょう。
申告期限が近づいても、税理士に任せているので、心配することなく事業に打ち込める環境が手に入ります。
まとめ
法人の確定申告は「決算日の翌日から2ヶ月以内」です。
これを絶対に忘れないようにしましょう。日常的に資料を作っておけば、申告期限を心配しないでよくなるはずです。
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