無申告で税務調査が入ったらヤバい!?今からできる対策を徹底解説
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「そもそも無申告ってバレるもの?」
- 「無申告事業者には絶対に税務調査が来る?」
結論から言いますと、適切に税務申告をせずに次の期を迎えてしまった事業者は、法人・個人事業主に関係なく、税務調査の対象に選ばれるリスクを通常以上に背負っています。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 無申告者に対する税務調査の状況
- 無申告で税務調査が入った場合の罰則
- 無申告でいると危険!今からできる対策
無申告で税務調査に選ばれないか心配だという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
無申告者に対する税務調査の状況
所得税と消費税を申告していない無申告者に対する、税務調査の状況は国税庁が一覧で発表していますので、下表をご覧ください。
事務年度等 | 3事務年度 | 4事務年度 |
| (参考)4事務年度 実地調査 (特別・一般)全体 | ||
項目 | 対前年比 | |||||
調査件数 | 件 | 3,828 | 5,229 8 | 136.6% | 35,751 | |
申告漏れ所得金額 | 億円 | 1,119 | 1,418 | 126.7% | 5,204 | |
追徴税額 | 億円 | 190 | 224 | 117.9% | 980 | |
一件当たり | 申告漏れ所得金額 | 万円 | 2,923 | 2,711 | 92.7% | 1,456 |
追徴税額 | 万円 | 497 | 429 | 86.3% | 274 |
(引用元:令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
消費税無申告者に対する調査状況
事務年度等 | 3事務年度 | 4事務年度 |
| (参考)4事務年度 消費税実地調査 (特別・一般)全体 | ||
項目 | 対前年比 | |||||
調査件数 | 件 | 5,257 | 7,615 | 144.9% | 20,677 | |
追徴税額 | 億円 | 129 | 198 | 153.5% | 322 | |
1件当たり追徴税額 | 万円 | 245 | 260 | 106.1% | 156 |
(引用元:令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
令和4事務年度は、所得税の無申告者に対し5,229件、消費税の無申告者に対し7,615件の税務調査が行われていることが上表からわかります。
税務申告を行なった結果、間違った申告内容だった場合だけではなく、無申告者であっても税務調査の対象になってしまうことを覚えておきましょう。
では、なぜ無申告であるにも関わらず国税庁で無申告者を把握できているかを考えてみましょう。
無申告が税務署にバレる理由
上表から、国税庁が無申告者を正確に把握できている事実がわかります。
そして、税務署は国税庁が把握している無申告者に対して税務調査を行います。
この「無申告がバレる原因」はいくつかあり、ほとんどの無申告者がこの原因に対し覚えがあるはずです。
- 銀行口座を利用している
- クレジットカードを使用している
- インターネットに営業している情報が掲載されている
税務署はこれらに対しチェックする権限を持っており、無申告者を特定することが可能です。
取引先との金銭のやり取りを銀行間で行なった場合、税務署はその履歴をチェックすることが許されています。
もし数百万円単位の高額な金銭が動いたにも関わらず、税務申告されていないことが確認できれば、当然税務調査が必要だと判断されるのです。
さらに、銀行口座から多額のクレジットの引落しがある場合は、税務署はクレジットカードを発行している信販会社に対して照会できます。
使用履歴に見合う、申告収入がなければ税務調査をして実態を確認する必要性を持たれてしまうのです。
つまり「履歴が残る金銭のやり取りがあればバレる」というわけです。
そして、無申告者がバレる原因の第1の理由は「取引先が正確に税務申告している」という初歩的なところにあります。
自身が無申告だったとしても、相手が正確に税務申告していれば事業利益が発生していることは明らかです。
また、インターネット上で営業している情報が掲載されている場合は、確実に無申告が把握されます。
とにかく「無申告でも税務調査の対象になるし、隠れていてもいずれバレる」ということを理解しておきましょう。
無申告で税務調査が入ったら?罰則を解説
実際に税務調査が入った場合、無申告だとどんなペナルティを受けるのかを覚えておいてください。
「税務申告したものの、申告内容にミスがあった」場合以上に重い罰則を課せられるので、無申告というリスクを冒さないようにしましょう。
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
無申告の場合「無申告加算税」が発生します。
また、申告期限以降のどのタイミングで修正申告したかによって税率が変わるので、下表でそれぞれの税率をご覧ください。
無申告加算税
期限後申告の時期 | 50万以下の部分 | 50万円超 300万円以下の部分 | 300万円超の部分 |
---|---|---|---|
税務調査の事前通知時 | 5% | 10% | 5% |
事前通知を受けてから調査着手されるまで | 10% | 15% | 25% |
税務調査着手後 | 15% | 25% | 30% |
加算・減算項目
① | ・過去5年以内に無申告加算税又は重加算税あり ・前年度、前々年度の国税に無申告があり、繰返し無申告 | +10% |
---|---|---|
② | 売上の1/3以上の計上漏れ | +5% |
売上の半分以上の計上漏れ又は調査で帳簿の提示なし | +10% | |
③ | 国外財産調書提出なし(所得税・相続税) | +5% |
国外財産調書提出あり(所得税・相続税) | −5% |
次に、源泉徴収を行なっている事業者の場合、他者から預かった税金を適切に納めなかったことに対し「不納付加算税」が発生します。
こちらも申告タイミングで税率が変わるので、下表で確認してください。
不納付加算税
納付の時期 | 税率 |
自主的に期限後で源泉所得税等を納付 | 5% |
税務調査で納税の告知を予知して源泉所得税等を納付 | 10% |
そして、最も大きな課税率である「重加算税」が発生する可能性も覚えておきましょう。
無申告である状況が「意図的ではない、単純なミス」であれば、重加算税にまで発展はしません。
しかし、悪質であると判断されれば重加算税が発生するリスクは十分にあります。
重申告加算税
区分 | 税率 |
過少申告・不納付で仮装隠ぺいあり | 35% |
無申告で仮装隠ぺいあり | 40% |
加算項目
① | ・過去5年以内に無申告加算税又は重加算税あり ・前年度、前々年度の国税に無申告があり、繰返し無申告 | +10% |
② | スキャナ保存されたデータに関連した不正あり | +10% |
通常の無申告の重加算税であっても40%という重税を課せられますが、過去5年以内に同様な加算税を課せられている事業者は、罰則があると理解した上で同じことを繰り返す悪質な事業者だと判断されます。
結果、重加算税の課税率は50%に引き上げられます。
【追徴課税だけじゃない】無申告のデメリット
無申告事業者は、追徴課税以外にもデメリットを抱えることを知ってください。
適切に税務申告していれば悩む必要がないことで頭を抱えることになってしまいます。
- 公的な所得証明がない
- 税務調査に怯える精神的ストレス
- 国民健康保険の減額が受けられない
融資を受ける場合やローンを組む際、公的な所得証明が必要な場面に直面しますが、税務申告をしていないため所得を証明することができません。
銀行融資ばかりではなく、国からの補助金申請や、自治体の支援金などの申請にも所得証明が必要になることもあります。
税務申告をしていないために、これらを利用できないというデメリットが発生してしまうのです。
また、税務調査がくれば追徴課税が発生するという事実を理解しているため、毎日いつ来るかわからない税務調査に怯えることがストレスになるでしょう。
精神的なストレスは実際に健康被害にまで発展する可能性もあるので、遅れていても申告はしたほうが気が楽ですよ。
そして、個人事業主やフリーランスの場合、確定申告をすることで所得が決定するため、申告しないと国民健康保険の減額を受けられません。必ず確定申告しましょう。
税制改正によって、高額の無申告や繰返しの無申告が厳罰化されており、無申告者に対しては、より厳しい調査が行われる可能性が高まっています。
無申告でいると危険!今からできる対策
もし今、無申告だけど税務申告しようと考えているのであれば、少しでも早く対策を講じましょう。
無申告と申告遅れでは、その身に受ける罰則の重さは雲泥の差です。
今からできる対策についてご紹介します。
①無申告分をすぐに申告する
現状が無申告であったとしても、できる限り早い時期に税務申告しましょう。
税務調査が決まってしまえば、発生する追徴課税の税率が増えてしまいます。
②税理士に相談する
これから税務申告するにしても、何をすれば良いかわからないという方は税理士に急いで相談してください。
- これまでの事業で発生した事務経費がわからない
- 手持ち資金がほとんどなくなっている
- 過去にも無申告で通してしまっている
早い段階であれば、税理士の方で対策を講じられることもあるはずです。
また、このまま事業を継続できないとなった場合でも、今できる対策について一緒に考えてくれる場合もあります。
最悪なのは「脱税で逮捕される」ことや「家族・親族まで巻き込んでしまう」ことなので、今すぐにでも税理士に相談することをおすすめします。
税理士をお探しなら「TRUSTマーケット」
まとめ
無申告で通すことに、1つもメリットは存在しません。
もし事業実績がマイナスだったとしても、適切に税務申告することを忘れないでください。
反対に、売上が多過ぎて納税額が大きくなる場合も、適切に納税していれば税務調査に怯える必要はなくなります。
適切に税務申告することを心がけ、税務調査の対象に選ばれる可能性を下げましょう。
税務の対応は、税理士が引き受けてくれます。
最終的に「税務面でのリスクを最小限にする」ことを目標にするためにも、信頼できる税理士をパートナーに持つことをおすすめします。