税務調査で個人通帳の提示を求められたら?見せなくてもいいケースを紹介
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「税務調査中に個人通帳を提示するように求められた」
- 「事業用と個人用は分けられないの?」
結論から言いますと、税務調査で個人通帳の提示を求められることはよくあることです。なぜなら、通帳は個人的に改ざんすることができない資料だからなのです。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 税務調査で通帳を見せる理由
- 個人通帳を見せる必要があるケース
- 見せなくても良いのに個人通帳の提示を求められたら?
税務調査官からの提示要請に疑問を感じているという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
税務調査で通帳を見せる理由
税務申告資料のなかに、事業実績年度の入出金履歴は添付するのが一般的です。
この履歴についてですが、最近ではCSVデータやPDFファイルで添付するケースも増えています。
この「電子データ」は、事業者側である程度手直しできますが、通帳は手直しすることができません。
金融機関が全てを管理しているので、紙の通帳であれば印字されたものが、ネットバンクの場合は、個人アカウント内で確認できるデータが全てです。
税務調査官は、原本を見ることで提示資料の正当性を確認しています。
そのため、銀行通帳を直接確認することには素直に従っておくようにしましょう。
個人通帳も見せる必要がある?
個人通帳の提示を求められることがありますが、必ず見せなければならないわけではありません。
個人名義の通帳を確認したいと要請される理由は、税務申告資料に不正の気配があるからです。
一切不正をしていない事業者でも、事業用口座に意図しない金銭の動きが出てしまうことはあるでしょう。
それが不正に見えてしまうことがあるのです。
個人通帳を見せる必要があるケース
個人通帳の提示を求められるのは、以下のようなケースが考えられます。
- 現金取引が多い
- 使用したクレジットカードの間違い
- 入金情報と申告内容の相違
- 資産に見合わない買い物履歴がある
- 税理士が関与していない
それぞれの状況を考えてみましょう。
①現金取引が多い
現金取引は、公的な履歴が残らないため「不正が発生しやすい」と認識されます。
そのため、事業用通帳だけでは所得の証明としての根拠が弱く感じられる傾向が強いです。
そのため、税務調査官は個人通帳に不正入金がないかを確認するために提示を求めます。
②使用したクレジットカードの間違い
「事業用」と「プライベート用」でクレジットカードを使い分けているにも関わらず、稀に事業用カードで個人的なものを決済してしまうことはありませんか?
これは、個人事業主や会社経営者であれば、意外と多く発生してしまう事例です。
ただの間違いですが、その間違いによって不正な金銭の動きが事業用口座に確認できます。
反対のケースも同様で、個人通帳で登録しているクレジットカードで事業用の決済をしてしまうと、申告内容にあるべき履歴が事業用口座で確認することができません。
実際に決済が済んでいるか確認するには、個人通帳の確認が必要になるのです。
③入金情報と申告内容の相違
申告内容と相違する入金が事業用口座にあった場合、個人口座と付き合わせて内容の正当性を確認しなければなりません。
もし不正な情報だと判断された場合、事業者は修正申告をするか、その入金と提出資料の正当性を証明する必要があります。
④資産に見合わない買い物履歴がある
例えば、相続により事業収入以外に所得を得る機会があったとしましょう。
相続税の申告が必要ない範囲だったとしても、その資金で事業用の物品購入があれば「不正を行なったのでは?」と疑われることがあります。
事業用車両のように、1回の買い物金額が数百万円にもなる場合は、資金調達方法からチェックされます。
その際、事業所得に余力がなく、銀行融資も受けていないとなれば、個人資金の動きの確認のために個人通帳をチェックされるのです。
⑤税理士が関与していない
事業者自身が経理担当が税務申告を担当した場合、どれだけ税務知識を持っていたとしても「素人」が行なった申告として判断されてしまいます。
そのため、申告書類に税理士の署名がなければ、申告内容に対する信憑性がワンランクダウンしてしまうのです。
申告内容にほんの少しでも不審点があれば、税務調査の際に徹底的に申告内容の正当性を確認するのが調査官の仕事。
もし余計な部分だと感じるところまで調査されたくないのであれば、税理士を介した申告をすることをおすすめします。
個人通帳を見せなくてもいいケース
税務調査官に個人通帳を提示するように求められたとしても、実は全てのケースで提示しなければならないわけではありません。
正当な理由がなければ、税務調査官は個人通帳の提示を求めることは許されていないのです。
先に提示を求められるケースをご紹介しましたが、なぜ提示を求めているかを調査官から説明を受けた上で、納得できた場合は素直に対応するのが望ましいです。
しかし、先にあげたケースに該当しない場合は提示する義務はありません。
例えば、完全に事業用とプライベート用で完全に通帳を使い分けている場合は、必ずしも個人通帳を提示しなくてもOKです。
それでも個人通帳の提示を求められたら?
どうしても個人通帳を確認して確かめたいという主張をされた場合、事業者はどうすれば良いのでしょうか。
提示する必要がない状態でも、細部までチェックしなければならないとされた場合には、いくつかの方法を考えておきましょう。
- 完全に事業用とプライベート用で使い分けている証明をする
- 提示しても問題ない場合は提示する
- 一度税理士に相談する
どんなに理不尽だと感じたとしても、落ち着いて対応することで解決に結びつけることはできるはずです。
しっかりと対策を練っておきましょう。
①完全に事業用とプライベート用で使い分けている証明をする
税務調査官が個人通帳の提示を求める場合、疑っている内容を明確に示す必要があります。
その疑いの根拠がないまま個人通帳の提示を求めることは、税務調査の範囲を超えてしまうため認められません。
仮に、その疑いの根拠が事業用口座の情報で解決できるようなら、それを証明すれば良いのです。
事業用とプライベート用で銀行を完全に切り分けているという証明も併せて行なった上であれば、調査官はそれ以上追求することはできません。
ただし、喧嘩腰になって声を荒げるようなことがあると、その行動が疑わしいという理由で突っ込まれることはあるので、落ち着いて対処するように心がけてください。
②提示しても問題ない場合は提示する
通帳を見せても問題がないのであれば、要請に従い情報提供するのは一つの手です。
ただし、調査官が求めればなんでも提示するという前例ができてしまうので、その後さまざまな資料提供を求められる可能性もあります。
そのため「問題がないかは今回の提示で全て確認しろ」という意思表示ははっきりとしておくべきでしょう。
③一度税理士に相談する
不正を行なっていないにも関わらず疑いをかけられれば、事業者側がストレスを感じるのは当然のことです。
しかし、反発する気持ちはないので、提示要請だけを引っ込めて貰いたいというのが、事業者側の主張だと思います。
そんな風にお互いの主張がぶつかってしまい、どちらも引けない状態になったのであれば、第三者が間を取り持つのが解決の最短ルートとなるでしょう。
そのために税理士に相談を持ちかけるのは良い選択です。
もし顧問契約を解消した後であれば、この税務調査を乗り切るためにスポット契約を結ぶのも良いでしょう。
その時に選べる最良の税理士との付き合い方を選び、有用なサービス提供を受けてみましょう。
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まとめ
税務調査で個人通帳の提示を求められる時は、何か申告内容に不備があったと考えておきましょう。
そして、明確に疑いについて説明してもらうことで、提示しなければならない理由を把握することが重要です。
意味もなく個人通帳を提示させるのは、税務調査の範囲外ですので拒否することもできます。
それでも提示しろと要請され、納得できない時には税理士に相談してください。
その時にどうすべきか程度のアドバイスであれば、無料で受けることもできます。
税金に対するトラブルだけではなく、税務調査で発生したトラブルも税理士にご相談ください。