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税務調査における帳簿の役割は?調査時に手元にない場合の対処法も解説

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この記事の監修

税理士:中瀬 渉(なかせ わたる)

元国税局特調班チーフで、7年間特別調査を指揮し、計24年間税務調査に従事した経験を持つ税理士。 深い専門知識と実績を活かし、税務調査に特化したセカンドオピニオンサービスを提供しています。

この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?

結論から言いますと、税理士が関与した申告の方が税務局から信頼されます。

本記事では、以下の内容を解説していきます。

いつ税務調査に選ばれても問題ないように準備したいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

税務調査での帳簿の必要性

税務調査は、税務申告の内容の不備が確認された場合や、ランダム選出された場合に対象とされ、申告内容の正当性をチェックされます。

その際、申告内容の根拠となるのが、事務処理された「帳簿」であり、個人・法人に関係なく調査材料として扱われます。

帳簿をチェックする理由は、以下の通りです。

申告ミスの発覚により税務調査される場合、調査官は事業者がどんな事務処理をしているかを確認します。

帳簿への記帳が杜撰な状態であれば、ミスが発生してもおかしくありません。

帳簿書類に記載された情報の成否を確認し、間違いがあれば修正申告が必要だという旨を通知します。

その場合、事業者へ期日内に適切に対処しなければなりません。

税務調査に備えた帳簿の保存期間は?

税務調査の有無に関係なく、税務書類は「7年保存」が義務付けられています。

これは、税務調査で遡れる最長期間である「7年」を基準とした考えによるものです。

この義務を守らずに帳簿を7年以内に処分した場合、もし税務調査に入られた際に問題になります。
税理士を使っていない法人であれば、帳簿管理は経理部が担当することになるでしょう。

もし帳簿の紛失があれば不正を疑われてしまいますし、税理士を使っていない個人の場合は、帳簿管理は事業者自身の責任です。

紙の帳簿である必要はないので、会計ソフトなどでデータ化するのがおすすめです。

ただし、データは必ずバックアップを作っておくようにしましょう。

ハードディスクに管理しておくだけでは、停電や機器の故障でデータ自体が破損する可能性も十分にありますので、記憶メディアやクラウドにも保存するのが効果的です。

税務調査で帳簿がないとどうなる?

税務調査に入られた際、帳簿管理ができていない事業者には、以下のようなリスクが発生します。

それぞれのリスクについて解説しましょう。

①追徴課税のリスク

申告ミスがあったのを確認されて税務調査を受けている場合、帳簿がなければ調査官はあらゆる手段を講じて情報を手繰り寄せます。

例えば、取引先に直接履歴を確認したり、金融機関の履歴を開示させたりと、第3者の所有する情報をピックアップしていくのです。

この「取引先や金融機関などに情報を開示させる調査」を「反面調査」といいます。

このような策を講じられてしまうと、取引先からの信用はガタ落ちになってしまいます。

金融機関も、税務調査に入られている事実を把握するため、もし借入をしているような場合は一括返済を要求してくるかもしれません。

そして、反面調査を行なったにも関わらず十分な情報が集まらない場合、申請内容の正当性を事業者側が証明できないため「追徴課税」を課される可能性があることを覚えておきましょう。

本来、帳簿が揃っていれば必要ない手間をかけているため、手を尽くしても「十分な証拠が揃わなかった」ということは、申請内容が不正であるとして判断されてしまうのです。

②青色申告が取り消されるリスク

税務調査に際し、帳簿の開示を拒否するような状況は「青色申告取り消し」の事項に該当します。

そのため、帳簿を紛失している時点で青色申告者としての資質がないと判断される可能性があるのです。

青色申告を取り消される要項は、以下にあげる10要項です。

税務調査の時点で帳簿が存在していないと、最後に挙げた「帳簿非作成」に該当し、青色申告を取り消されます。

青色申告の取り消しによって発生するデメリットは以下の通り。

青色申告を取り消されることで、これらも同時に取り消されることとなってしまうことを覚えておきましょう。

③推計課税されるリスク

税務申告に関係する帳簿が存在しないため、正確な税額算出ができません。

そのため、税務署長は「間接的な情報から税金を推算する」という権利を持っているのです。

しかし、税務書類を用意できないということは、税務調査に対して非協力的な事業者であると判断できる状況なので、税務署の決定に従うしかないのです。

税務調査なのに帳簿がない場合の対処法

税務調査の通知を受けて、これから急いで帳簿を準備しなければならない状況で考えられる対策をご紹介します。

これらの方法について考えてみましょう。

①ある書類をかき集めて計算をする

手元に残っている書類があれば、とにかくかき集めることが重要です。

経費に計上できる領収書が残っていれば、できる限り日付順で揃えるようにしてください。

完全な申告内容は作り上げることができないかもしれませんが、ある程度の経費根拠を示すことで、取引金額を全額所得としてみなされずに済みます。

当然、申告内容との食い違いも出てくるため、修正申告とそれに伴う追徴課税の納税は必要です。

しかし、適切に対処することで事業者としての責任は果たせるでしょう。

②会計ソフトの履歴の確認

もし、データで保存していたものが破損してしまって帳簿が提示できないという場合は、とりあえず会計ソフトの履歴を確認してみてください。

また、クラウドサービス系の会計ソフトであれば、最終的に仕上がった情報が保存されています。

ソフトからの確定申告をしていれば、全ての情報が残っている可能性も十分に考えられるでしょう。

③税理士に相談する

どうしても税務書類を集められないという状況が早々にわかっているのであれば、できるだけ早く税理士に相談しましょう。

一番良いのは、事前通知を受けた時点で相談することがおすすめです。

税務書類の紛失や、そもそも作成していない旨を伝えることで、今事業者がとるべき行動を示してくれます。

万が一、事業者自身がこの説明をした場合、税務調査に否定的だという印象を与えかねないのです。

税理士は当事者ではないため、調査官の怒りの矛先が向くことはなく、お互い目の前の仕事を完遂することに意識を向けられるというわけです。

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まとめ

税務書類の保存期間は「7年」です。

書類の保存を怠ってしまうと、青色申告事業者の資格を取り消されてしまい、優遇制度を一切利用できなくなってしまうということを覚えておきましょう。

税務調査に帳簿は必要不可欠なのです。

面倒な作業を全て引き受けてくれる上に、あなたの税務資料には税理士の署名が入るため、税務署から信頼されるのです。

まだ税理士とのつながりがないのであれば、ぜひTRUSTマーケットにご相談ください。

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