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無申告に時効はある?期限後でも申告するべき理由を解説

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この記事の監修

税理士:中瀬 渉(なかせ わたる)

元国税局特調班チーフで、7年間特別調査を指揮し、計24年間税務調査に従事した経験を持つ税理士。 深い専門知識と実績を活かし、税務調査に特化したセカンドオピニオンサービスを提供しています。

この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?

結論から言いますと、無申告に時効はあるものの、ペナルティや追徴課税を請求される可能性があるためおすすめしません。

本記事では、以下の内容を解説していきます。

所得税や法人税を申告しなかった場合のペナルティを知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

無申告に時効はある?

確定申告をせずに、無申告のまま月日が経ってしまっても「国税の更正、決定等の期間制限」により納税額が税務調査などで決定されなくなる制度はあります。

基本的には申告期限から5年間、「偽りその他不正の行為」があった場合でも7年間を経過すれば課税されなくなります。

しかしながら、国税庁では、「無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要がある」として、常に無申告の事業者に対する情報収集と厳しい税務調査を実施しているため、事業を行って利益があるにもかかわらず、申告していない場合は、税務調査が入る可能性が高くなっており、仮に税務調査が実施された場合は、過去何年もさかのぼって課税されるとペナルティーも含めて絶望的な税額をまとめて負担することになりかねません。

無申告のペナルティ

事業者にとって、面倒な事務作業が多い確定申告は、後回しにしがちな作業です。しかし、事業を営む以上、国に対して事業状況の健全性を証明しなければなりません。その証明のため、確定申告は絶対にしなければならない重要な作業なのです。

もし、確定申告をせずに無申告でいた場合、どのようなペナルティが発生するのか見ていきましょう。

①無申告加算税

申告が間に合わなかった原因の有無に関わらず、期限内に確定申告できなかった場合に発生するのが「無申告加算税」です。こちらも修正申告のタイミングで課税割合が変わります。

期限後申告のタイミング追加税額50万円未満追加税額50万円以上300万円未満追加税額300万円以上
税務調査の事前通知前5%5%5%
事前通知後から税務調査まで10%15%25%
税務調査後15%20%30%

※①帳簿の提示等をしなかった場合、または、帳簿への売上⾦額の記載等が、本来記載等をすべき⾦額の2分の1未満だった場合は、10%加重されます。
※②帳簿への売上⾦額の記載等が、本来記載等をすべき⾦額の3分の2未満だった場合は、5%加重されます。
※③過去5年間のうちに無申告加算税を課されていた場合は、10%加重されます。

近年、特に無申告の場合の加算税が厳罰化されており、無申告を繰り返して、調査の際に帳簿の提示をしなかった場合などは、追徴税額が300万円を超える部分は、なんと50%の無申告加算税が課されることになります。

②不納付加算税

源泉徴収をしている法人または個人事業主が、期限内に正しく納税しなかった場合に発生する追徴課税が「不納付加算税」です。源泉所得税を預かっている事業者は、
先述した過少申告加算税や無申告加算税とは異なり、不納付加算税は明確に課税割合が決まっています。

修正申告のタイミング税率(課税割合)
税務調査の事前通知前5%
事前通知以降10%

源泉徴収によって納税義務を果たしている納税者に不利益が生じるため、源泉徴収を行なっている事業者の不手際によって発生する不納付加算税は、猶予なく追徴課税の対象となっています。

ただし、納付が期限に遅れた場合でも、期限から1か月以内に納付して、過去1年間、期限内に納付できていれば、その不納付加算税は免除されますので、うっかり源泉所得税の納付を忘れたときは、すぐに納付するようにしましょう。

④重加算税

重加算税は最も重い追徴課税です。

項目割合
過少申告、不納付加算税に代えた重加算税35%
無申告加算税に代えた重加算税40%

※過去5年間のうちに重加算税を課されていた場合は、10%加重されます。

対象となるそれぞれの加算税を課された上、規定の課税割合を追加課税されます。
重加算税は「仮装・隠ぺい行為」つまり「意図的に不正を行なった」場合に課せられるもので、うっかりミスした場合に適用される追徴課税ではありません。

などの考えの上で過少申告や期限を過ぎるなどの税逃れをすること自体が「意図的」なので、上手くバレないように誤魔化せていると思っても、税務調査が入り、不正が発覚した場合、過去にさかのぼって絶望的な追徴税額と重加算税を課せられることになります。

無申告で時効を待つのが現実的でない理由

無申告で時効を迎えるためには5年、もしくは7年と言う期間が必要です。税務署側が権利を施行していないのが条件ですが、不可能に近いレベルで現実的ではありません。

では、どれほど現実的ではないか、その理由を解説します。

①ペナルティが重い

無申告でいると、バレた時に無申告加算税や重加算税などの罰則が重い加算税が課されます。通常どおり申告していれば、全くかかることがない税金です。

②税務調査が年々増加している

なぜなら、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションが進み、AI・データ分析・オンラインツールが活用され、調査・徴収の効率化・高度化されてきているからです。
デジタル化が進み機械的なチェックでの資料情報の洗い出しが可能となり、その結果、税務調査が必要と判断できる無申告の事業者の把握件数が増えていくというわけです。

④信用問題の悪化

確定申告を無申告のままで過ごしていた場合でも、事業者は通常と変わらない生活を営んでいるはずです。しかし、無申告の事業者の信用情報は傷ついていることを覚えておきましょう。

例えば、クレジットカードの申込みをしたとします。無申告の状態でいるということは信用情報に悪影響を及ぼす可能性があり、結果として以下のような不都合が生じてしまうのです。

これらは一例でしかありませんが、事業運営の中では「金融機関からの借り入れ」ができなかったり、「今ある借入を全額一括返済」を求められたりと、信用情報が決壊することで健全な事業運営ができなくなることも出てくるのです。

まとめ

確定申告をせずに無申告のままでいることは、限りなくリスクが高いことだと断言します。できる限り正しい申告をして、適切な税額を納めることが最も楽な道だと言えるでしょう。

もし申告が面倒で後回しにしているのであれば、税理士に税務全般を任せてみてはいかがでしょう。日常的な帳簿管理から経費計算、税務申告や事業アドバイスまで幅広く対応してくれる税務のプロが、あなたの良き相談役になってくれますよ。

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