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税務調査はどこまで調べる?対象範囲としておくべき準備を解説

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この記事の監修

税理士:中瀬 渉(なかせ わたる)

元国税局特調班チーフで、7年間特別調査を指揮し、計24年間税務調査に従事した経験を持つ税理士。 深い専門知識と実績を活かし、税務調査に特化したセカンドオピニオンサービスを提供しています。

この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?

結論から言いますと、税務調査の範囲は多岐に渡ります。税務に必要な帳簿や領収書、申告書や取引明細など、全てをチェックされるつもりで考えておいた方がよいでしょう。

税務調査は、税務当局が納税者の確定申告書や財務記録を審査し、不正なく適切に所得金額を計算しているかを確認する調査です。

本記事では、以下の内容を解説していきます。

税務調査が行われる理由

税務調査を行なう理由は、大きく2パターンに分けて考えられます。

1つ目は、取引に不透明性があったり、経費に疑わしい部分があったりなど、申告された確定申告の内容について、正当性が疑わしい場合です。

明らかな不正を疑われている場合には、事前に調査日の予告がなく、突然、国税の調査官が事務所や自宅に調査にやってくることがあります。この税務調査を「無予告調査」と言います。

2つ目は、特に疑わしい部分はないものの、正しく税務申告できているか確認するために行われる税務調査です。この場合、税務調査を行う旨の事前通知があり、指定の日時で調査が行われます。

なぜなら、税務調査官には「国税通則法第七十四条の二」で定められている「質問検査権」と、納税者には「国税通則法第百二十八条」の受忍義務があるからです。

まず、税務調査官の権利について解説します。

(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)

第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査(第百三十一条第一項(質問、検査又は領置等)に規定する犯則事件の調査を除く。以下この章において同じ。)を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)若しくは輸出物品(同法第八条第一項(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)に規定する物品をいう。第四号イにおいて同じ。)又はこれらの帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。

(引用:国税庁 国税通則法 第七十四条の二

要約すると「税務調査官は帳簿書類等を検査でき、提示・提出を求めることができる」という内容です。税務調査官はこの法律に則って税務調査に入ります。文面的には「求めることができる」となっているため、納税者に協力を求める形です。

そのため、拒否できるようにも感じますが、以下の条文から納税者が税務調査を拒否できない状況が作られています。

つまり「税務調査の拒否や邪魔をすれば1年以下の懲役、または50万円以下の罰金」という罰則が定められているわけです。ただし、無予告調査の際、その場で調査を受けることができない正当な理由があれば、調査の日程をずらすなどの調整をすることは可能です。

税務調査で狙われやすい事業者は?

税務調査で狙われやすい事業者の特徴を挙げてみました。

国税当局が注目している業種とは、過去多くの申告漏れがあった業種など、風俗業や飲食業、建築業やIT、コンサルタント業など多岐に渡ります。

国税当局が注目している業種

以下の業種は国税当局にチェックされやすい業種です。

上記した業種に共通しているのは「現金での取引が多かったり、過去多くの申告漏れがあった」ことです。健全な税務を行なうためには、しっかりと証拠となる取引明細を残しておかなければなりません。

税務調査で調べられる範囲

税務調査の調査範囲は、基本的に「税務に関わる全て」です。
一般的な税務調査の調査範囲について見ていきましょう。

①PCやスマートフォンのデータ

取引をPCやスマートフォンで行なっている場合、それぞれのデータが調査される場合があります。特に不正を疑われている場合は細かくチェックされるでしょう。

内容としては、メールや会計ソフト、クラウド上にあるデータなども調査対象です。LINEやホームページなども確認され、事業実態と異なっていないかなどもチェックされます。

②確定申告書

納税者の確定申告書が、正確かつ適切に記入されているか調査されます。主に、所得の正確な計算や、法定控除の適用などが審査されます。

③経費の計上

経費を正確かつ適切に計上しているか確認されます。仮に、事業に関係ない領収書を経費計上をしていた場合、修正申告の対象として判断されます。

あまりにも事業に関係ないものを経費として計上されている場合、脱税を疑われるきっかけにもなり得るので、間違った経費計上には注意しましょう。

④資産と負債

資産と負債の正確な記載も重要です。特に預金口座、売掛金、不動産、投資、ローン、借入金などの資産・負債が正確に申告されているかは重視されます。

⑤取引の正確性

取引が正確かつ適切であるか調査されます。特に輸入や輸出などの国際取引や、海外送受金がある場合、これらの取引が法令に準拠しているかが焦点となります。

⑥帳簿と記録

適切に帳簿を管理し、記録を保持しているか調査されます。帳簿の正確性や記録の保管方法に間違いはないか、税法が遵守されているかなどが調査の対象です。

⑦通帳類

事業用の通帳や現金出納帳などの帳簿が調査されます。不正はないか、不透明な部分はないかなど、お金の流れを見ることで、事業実態の正当性まで判断されるのです。

税務調査は個別によって調査する内容が違うため、一概にどこまでの範囲とは決まっていません。

税務調査前にしておくべき準備

スムーズな税務調査にはしっかりとした資料の提出などが必要です。準備しておくとよいものや資料は、以下をご覧ください。

①帳簿や財務記録の整理

帳簿や財務記録を整理し、正確でアクセスしやすい状態に保っておきましょう。

②領収書や請求書の保管

支出や収入に関連する領収書や請求書など、証拠書類を整理・保管しておきます。これらの書類が支出や収入の証明となります。

③確定申告書と関連書類の確認

確定申告書や関連する書類を確認し、記入ミスや誤りがないかを確認します。誤った情報は調査の原因となってしまうため、今一度間違いはないか確認しておきましょう。

④対話の準備

できれば、税理士と一緒に調査当日の対話についてリハーサルしておきましょう。経験豊富な税理士であれば、資料の中から質問されやすいポイントを教えてくれます。

⑤税理士に相談する

スポット依頼でも、税務調査の対応をしてくれる税理士はたくさんいます。この場合、事前通知を受け取ってすぐに依頼するようにしましょう。資料の確認や整理、過去の申告内容にミスがないか事前に確認するなど、税理士側でも準備が必要なのです。

まとめ

税務調査で調べられる範囲は、確定申告で必要となる全ての書類やデータが対象です。過去の確定申告で使った資料を、税務調査当日までに整理確認しておかなければなりません。しかし、煩雑になってしまっている資料を、税務調査で扱いやすい状態にするのはかなりの手間です。

税理士なら、スポットの依頼でも税務調査に最適の資料にまとめ上げてくれます。顧問契約を交わしていれば、常に最適な資料作りを徹底してくれる上に、事業に対するアドバイスも対応してくれるでしょう。

税務調査に不安を感じるよりも、信頼できる税理士と一緒に乗り越えてしまいましょう。

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