近年最多の追徴!?AIによる税務調査の変化と対策について紹介
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「AIによって今後税務調査はどう変わる?」
- 「自分にはどんな影響があるのか」
結論から言いますと、AIの導入により、税務に関する不正がより正確に検知されるようになるでしょう。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- AI・データ分析を活用した税務調査とは
- AIやテクノロジーによる税務調査の変化
- AI等の技術で税務調査は今後どうなる?
今までの税務申告や今後が心配だという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
AI・データ分析を活用した税務調査とは
令和3年9月1日の「デジタル社会形成方法」と「デジタル庁設置法」により発足された「デジタル庁」により、社会的にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。
AIやデータ分析を税務調査に活用することで、以下に挙げる内容が適切に行われることになりました。
- データのマッチング
- リスクの分析
- 分析結果の活用
国税庁の資料「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション- 税務行政の将来像2.0-」を参考に、それぞれ詳しく解説していきます。
①データのマッチング
AIを活用し、税務申告内容の成否を過去のデータから判別していきます。
これは、申告した当事者だけではなく、同業種によって行われた税務申告も含めたデータからも現れる特徴を加味した分析で、申告内容の正当性を確認する作業です。
また、当該申告内容が添付資料と差異がないかもチェックする重要な過程であるため、AIによる的確な分析が間違いの発生を抑止する大きなプロセスになるのです。
②リスクの分析
データアナリストによって、申告内容のリスクを分析します。
申告当事者の不正の有無だけではなく、申告内容にある取引先なども含めた総合的な不正の判明に役立つ工程です。
BAツール(Business Analytics)と呼ばれる、分析に特化したシステムを活用することで、以下に挙げた一例などを分析しています。
分析名称 | 分析内容 | 具体的な利用内容 |
ロジスティック回帰分析 | 目的発生予測分析 目的発生確率分析 | 不正が発生したのが「意図的か・偶発的か」を判断するために行われる |
決定木分析 | 目的変数に影響を及ぼしている説明変数を見つけ出す分析 | ロジスティック回帰分析をより細かく分析するために行われる |
クラスター分析 | 特性分析 | 分析内容を単純化することで、発生原因や意図を判断するために行われる |
BAツールでは、他にもさまざまな要素に対し分析を行っており、申告内容の不備や不正の可能性をあぶり出しているのです。
③分析結果の活用
先に行った分析結果により判明した不正リスクにおいて、高いレベルでリスクが判明したものをピックアップします。
従来であれば見逃していた可能性のある不正に対しても、AIや分析ツールを活用することで、隠れた関係性を検知できるようになりました。
日本国内だけではなく、取引が海外企業にも及ぶような国際的な状況でも、自動的に不正リスクをキャッチできるのが、AIや分析ツールを使用するメリットです。
AIやテクノロジーによる税務調査の変化
従来の「人の目」による調査だけではなく、AIやデジタルテクノロジーを税務調査に活用することで、現在は以下のような変化が起こっています。
- 電子記録や電子での提出が可能になる
- リモート上での税務調査が実施される
- 手続きが簡便化される
それぞれを簡単にご紹介します。
①電子記録や電子での提出が可能になる
紙ベースで行われていた税務申告が、現在は会計ソフトやe-Taxといった方法で簡単に行えるようになりました。
日常的な帳簿管理に会計ソフトを利用することで、これまで保管スペースを必要としていた過去の税務資料が、データ保管で済むようになっています。
また、e-Taxでの申告が可能となったことで、税務署に足を運ばなくても良くなったのはとても大きな変化です。
②リモート上での税務調査が実施される
新型コロナウイルスの影響により、税務調査官が対象事業者への訪問ができなかったために、適切に税務調査ができないというリスクが懸念されました。
そのため、国税庁では2020年から大規模法人に、2021年からは中小規模の法人に対しても、リモートでの税務調査に乗り出しています。
2022年10月からは、国税庁の用意した通信環境を利用することで、安全性と機密性の確保にも配慮しています。
2023年5月8日に、新型コロナウイルスの危険性が季節性インフルエンザと同等に引き下げられましたが、将来的にもリモートでの税務調査は継続するとされています。
なお、リモートでの税務調査には、インボイス制度の事業者登録が必要です。
③年末調整の手続きが簡便化される
金融機関や税務署からの控除証明が、データとしてマイナポータルに連携されることで、年末調整申告書が自動的に作成されます。
本来であれば集計と計算対応をしなければならなかったものが、全てデータとして提出できるようになったのです。
AI等の技術で税務調査は今後どうなる?
AI技術の発展によって、今後の税務調査は以下のような変化が進むことを予測できます。
- 不正や間違いが発見されやすくなる
- 正確な税務処理が求められる
- 税務の変化についていく必要がある
それぞれを簡単にみていきましょう。
①不正や間違いが発見されやすくなる
AIが税務調査で利用されたことで、2022年度の追徴課税額は3563億円にも達しています。
これは、近年でも類を見ないほどの金額です。
つまり、それほどまでに不正が巧妙化していて、調査官の目だけでは発覚できなかったことを示しています。
その点、AIは機械的に分析をし、過去の膨大なデータから適切に申告内容を判断できるため、不正や間違いを迅速に察知することが可能です。
②正確な税務処理が求められる
これまでは人の目で確認されてきた申告内容も、AIの投入によってより厳密に精査されるようになりました。
そのため、ちょっとした不備も、巧妙に仕組んだ不正も、白日の元に晒されることでしょう。
より正確な税務処理を行う必要があります。
③税務の変化についていく必要がある
税務調査の進化は、ここで終わるわけではありません。
今後も新たな技術を取り込みながら、より簡潔で、より透明性の高い税務申告が必要になっていくことでしょう。
その時には、税務の変化・進化に事業者自身がついていかなければならないのです。
税務に対する勉強はもちろんのこと、誰にでも簡単に使える会計ツールが生まれれば、それらを積極的に取り入れることも必要になるはずです。
もしかすると、政府主導の専用アプリが開発され、そこからの申告が義務化されるかもしれません。
申告時に不正を弾くようなセキュリティが組み込まれていれば、経営者は追徴課税に悩む必要もなくなるでしょう。
課金制や会員制を取る可能性も十分にあります。
さまざまなサービスが展開される中、税務の変化への柔軟な体制が必要となるはずです。
税務の変化が不安な方は税理士に相談しよう
会計ツールやクラウドサービスはたくさんありますが、実際に使ってみると案外不便に感じると思います。
全てを一元管理できるかと思いきや、実はかなりの手作業もあるからです。
結果的に、紙帳簿に戻ってしまったという事業者も少なくありません。
その難しくて面倒な税務に対し、専門的に対応しているのが税理士です。
常に最新の税務情報を把握しているので、不正のない税務が約束されます。
新しい税務の変化も、全て税理士が対応してくれるでしょう。
税務調査の対応や確定申告も依頼できるため、事業運営だけに注力することが可能です。
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まとめ
国税庁がDXを進めたことで、これまで見落とされていた不正までもが明るみに出るようになりました。
つまり、ミスも不正も確実に見つかるということです。
しかも、AIが作業するので、調査にかかる時間も短縮されるでしょう。
過去の修正申告や、今後の税務の変化にまで手が回る事業者ばかりではありません。
だからこそ、税理士に税務全般を任せることが重要なのです。
健全な事業運営のために、あなたのお手伝いを税理士に任せてみませんか。