税務調査ではスマホやLINEもチェックされる?提示を求められた時の対処法
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「税務調査の時にスマホの確認もされるのか」
- 「事務書類以外にチェックされるものがあるのか」
結論から言いますと、場合によっては会社で契約しているスマホをチェックされることがあります。
提示を求められた場合、受忍義務によって拒否することは許されません。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- スマホやLINEがチェックされるのは本当?
- どんな場合にスマホの提示を求められる?
- スマホ以外にも提示を求められるものはある?
「税務調査で色々提示したくない」と心配になっている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
税務調査でスマホやLINEがチェックされるのは本当?
一般的な税務調査の場合、納税根拠となる申告書類や添付資料によって調査が行われます。
しかし、これらだけでは根拠として不十分であり、資料としてスマホ・LINEのやり取りなどの提示が必要となれば、調査官はこれを求めることができるのです。
個人のやり取りまで見られるのは嫌ですが、税務調査では、調査官がチェックの必要があると判断し、その根拠も明確にできる場合には「納税者に対し提示を求めることができる」というルールが存在します。
このルールの根拠は、国税通則法74条の2から74条の6に規定される「質問検査権」です。
(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権) 第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査(第百三十一条第一項(質問、検査又は領置等)に規定する犯則事件の調査を除く。以下この章において同じ。)を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)若しくは輸出物品(同法第八条第一項(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)に規定する物品をいう。第四号イにおいて同じ。)又はこれらの帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。 |
(引用:国税通則法第74条の2 当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
さらに、以前までは所得税法第234条でも「税務調査で質問されたことには適切に受け答えしなければならない」と定められていました。
第234条《当該職員の質問検査権》第1項は、国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、所得税に関する調査について必要があるときは、納税義務がある者等に質問し、又はその者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる旨規定している |
(引用:国税不服審判所 別紙4より抜粋)
なお、現在は財務省が所得税法第234条から236条までを以下のように整備するよう指示しているため、所得税法条文からは削除されています。
国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律に税務職員の質問検査権に関する規定が横断的に整備されることに伴う所要の整備を行うこととする。(旧所得税法第234条~第236条関係) |
ただし、国税通則法にある条文から、調査官の質問検査権は継続されているため、もしこの質問検査権に違反した場合、受忍義務違反として罰則が発生することを覚えておきましょう。
第百二十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 一 第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者 二 第七十四条の二、第七十四条の三(第二項を除く。)若しくは第七十四条の四から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者 三 第七十四条の二から第七十四条の六まで又は第七十四条の七の二(特定事業者等への報告の求め)の規定による物件の提示若しくは提出又は報告の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出し、若しくは偽りの報告をした者 |
(引用:国税通則法 第128条)
税務調査でスマホ・LINE内容の提示を求められるケース
税務調査でスマホ・LINEの提示を求められるのは、以下のようなケースです。
- LINE上で取引のやり取りをしている
- 帳簿や請求書で確認できない情報がある
- 全ての作業をスマホで完結している
項目ごとに解説しましょう。
①LINE上で取引のやり取りをしている
取引先との連絡をLINEで行っている場合、全ての情報がLINEに残っています。
見積りや請求書などもLINEで行っているのであれば、LINEを確認すれば全てを把握できるわけです。
たとえ削除した内容でも、サーバーから復帰させることもできるため、調査資料として完全なものだと言えるでしょう。
②帳簿や請求書で確認できない情報がある
申告書類が揃っていない場合や、請求書に日付の記載がないような場合、取引日時がわかる情報を入手するためにスマホの提示を求められることがあります。
③全ての作業をスマホで完結している
株式投資や仮想通貨で収益を得ている場合、スマホだけで取引を完結している方も多くいます。
つまり、全ての事業内容がスマホの中に揃っているわけです。
税務調査では「年度内事業の情報から納税額の過不足を確認する」という本質があるので、このような場合は全ての取引状況が確認できる資料としてスマホが有力だと判断できるのです。
スマホ・LINE内容の提示を求められた時はどうする
スマホ・LINEの提示を求められた場合、事業者にはどんな対応が求められるのでしょうか。
- スマホやLINE内容の提示は拒否できる?
- 全てのLINE内容を見せるべき?
- 見られたくないデータは事前に消しても良い?
これらの疑問を簡単に解決しましょう。
①スマホやLINE内容の提示は拒否できる?
残念ながら、スマホ・LINEの提示を求められた場合、これを拒否することは許されません。
仮に拒否した場合は「受忍義務違反」として罰則を受けるでしょう。
②全てのLINE内容を見せるべき?
実際に提示すべきなのは「業務に関するデータのみ」です。
プライベートなやり取りや事業に関係のない部分にまで踏み入ることは、調査官にも許されていないのです。
③見られたくないデータは事前に消しても良い?
事業内容に関係がないデータであれば、削除することはできます。
ただし、その削除によって証拠を隠蔽したと判断される可能性もあるため、削除することはおすすめしません。
特にみられても問題ない場合は、そのままにしておく方が良いでしょう。
スマホやLINE以外で税務調査で提示を求められるもの
税務資料やスマホ・LINE以外で、税務調査で提示を求められるものを考えてみましょう。
- XやFacebookなどのSNS
- 個人通帳
- パソコンデータ
- メールなど
個人利用もしつつ、事業の一環としても利用されていると判断できる情報であれば、税務調査で提示を求められる可能性があります。
特に、SNSのような匿名性が高い場所では、不用意な情報を発信していることもあるので注意しましょう。
税務調査に不安を感じている方は税理士に相談しよう
税務調査は、正しく税務申告できていれば怖がる必要はありません。
しかし、少しでも不審な点があれば、調査官はその申告内容の根拠を見つけなければならないのです。
その際、スマホ・LINEなどの情報を求められることがあることを覚えておきましょう。
もし、税務調査を何事もなくクリアしたいと思うのであれば、確実な税務申告を心がけてください。
そして、追求される可能性を少しでも減らしたいのであれば、税理士に相談しましょう。
税務調査の立ち会いだけでも相談に乗ってもらえます。個人事業主でも法人でも、税理士という「税務の正当性の根拠」を味方につけるだけで、調査官からの不要な追求を受けずに済むでしょう。
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まとめ
税務調査ではスマホ・LINEの提示を求められる場合もあります。
他にも、申告書類や添付資料に不足が見られるような場合、調査官の判断でさまざまなものを提示するように指示される可能性もあるので、正しく税務申告するようにしましょう。
税理士に管理してもらうことで、税務調査に怯える必要はなくなります。
税金対策も相談に乗ってもらえる上に、申告内容の透明性を証明してくれる存在でもあるのです。
少しでも税務に心配がある場合は、一度税理士に相談してみてください。