【脱税】告発から逮捕・裁判までの流れを解説!罰則や対策も紹介
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「これまで税務申告の改ざんをしてしまっている」
- 「少額でも脱税ってバレるの?」
ちょっと税務申告を誤魔化して、それがたまたまうまくいってしまった。
味を占めて数期にわたり申告内容を改ざんしている。
そんな事業者は、もしかすると【脱税】の告発を受けているかもしれません。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 脱税で告発される際の流れ
- 脱税で考えられる罰則
- 脱税がバレて告発される3つのパターン
告発されるかもしれないと不安な方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
脱税で告発される際の流れ
脱税で告発を受けたらどうなるのか、今後の人生にどんな影響を与えるのかをしっかりと理解しましょう。
国税局から査察され、裁判で判決に至るまでの流れの概要は以下の通りです。
- 調査段階「内偵調査、強制調査、事情聴取」
- 告発段階「検察との協議、検察による捜査」
- 逮捕「勾留と在宅」
- 起訴・不起訴の決定
- 刑事裁判から判決まで
決して甘く考えられる問題ではないため、十分に理解しながら読み進めてみてください。
①調査段階
最初は国税庁査察部による内偵調査が行われます。
事業者は調査されていることを知らず、従来の不正申告を行なっている状態で、事業運営も変わらず継続している状況です。
調査されるのは以下の3点。
- 法人・個人の銀行取引履歴
- 取引先の実態
- 取引先との申告内容の差異
ここで不正があると分かれば強制調査に乗り出します。
強制調査では、以下を対象に捜査が開始されます。
- 調査対象の法人・個人の事業所
- 代表者の住所地
- 関係の深い人物
事業者のみではなく、不正に関係している可能性がある全員に捜査範囲が広がるため、この段階で取引先や金融機関からの信用は一気に崩壊するでしょう。
その後、押収された資料を徹底的に分析し、調査対象に事情聴取を繰り返し、供述録取書の作成を行います。
供述録取書は、裁判でも証拠として取り扱われるものなので、もし内容に間違いがある場合は不利な証拠となってしまうため、訂正を申し立ててください。
この事情聴取は、国税庁の査察部が行いますが、流れで検察に権利が委譲されてしまうことがあります。
もし検察が介入してしまうと、その段階で事件として立件されたことになってしまうため、必ず弁護士を通すことをおすすめします。
ただし、事情聴取に弁護士は立ち会いできないため、適切に回答できないものに関しては「弁護士に相談する」旨を主張しましょう。
②告発
査察部の事情聴取が進むと、査察部は検察との協議会で審議し、検察が告発を容認することで査察部は検察に「告発」します。
査察部から検察へ捜査権を委譲することで、疑いから事件へと発展するのです。
検察に事件送致された後、検察が補充の捜査を行います。
査察部の押収した資料以外にも有力な証拠がないか徹底的に捜索しなおし、再度検察でも供述録取を作成されます。
同じ工程のようですが、査察部よりも厳しく細部に至るまで聴取されるため、精神的ストレスは査察部の時の比ではありません。
③逮捕
逮捕段階には「在宅と勾留」で違いがあります。
在宅の場合、査察部で行われた聴取と同様に、検察でも何度も呼び出された上で事情聴取が繰り返され、供述録取書の作成が行われます。
この供述録取の取り扱いも査察部の時と同じなので、間違いは訂正を申し立てて構いません。
ただし、ここでも弁護士の同席は許されないため、
的確な回答ができない場合は「弁護士と相談したい」旨を主張しましょう。
逮捕・勾留される場合は、2つの原因があります。
- 逃亡する可能性がある
- 罪証隠滅を企てる可能性がある
罪証隠滅とは、関係者への口裏合わせや証拠隠滅のことです。
これらを行う可能性がある被疑者には、逮捕・勾留請求をした上で「逮捕後48時間以内の取調べ」が行われます。
そして、裁判官に「10日間の勾留請求」を申し立てることも許されており、10日間では取調べしきれなかったと判断できる場合、さらに「10日間の勾留延長」を請求する権利を検察は持っています。
脱税事件の場合、口裏合わせを行う可能性が非常に高いため、勾留延長が認められやすいです。
つまり、最長22日間もの身柄拘束を受ける可能性があるということです。
しかも、脱税の疑いがある事業者は「過去にも同様の脱税歴がある」と考えられるため、1度の勾留期間は22日が最長になりますが、別の期間の脱税を別件として取り上げることで、逮捕・勾留期間を引き延ばすという方法を取られることも十分に考えられます。
この逮捕・勾留中は、外部との接触が非常に厳しい監視下に置かれ、弁護士以外の人間との接触はほぼ認められません。
これを「接見禁止」といいます。
口裏合わせを行う可能性が非常に大きく、ほとんどの脱税者は接見禁止を申し渡されることになるでしょう。
さらに、逮捕・勾留中は外部からの情報もほとんど知ることができないため、検察官からの質問に対し「何を答えるのが正解なのか」がわからないままやり取りすることになります。
そのため、ちょっとした一言が最悪の状況を生む結果にもつながってしまうのです。
④起訴・不起訴
度重なる聴取と集められた資料分析の結果、起訴・不起訴が決定されます。
ただし、過去の統計上70〜80%の確率で起訴されているので、よほどのことがない限り起訴されると考えておいた方が良いでしょう。
仮に、不起訴になるとしたら、以下のケースが挙げられます。
- 申告内容の正当性に裏付けが取れた
- 取引先の申告が不正だった
- 銀行口座を不正利用されていた
これらは一例ですが、実際に疑いが別の場所に移るようなことがない限りは、不起訴になることは難しいです。
検察は法律を駆使して疑いの目を向けているため、何がなんでも起訴する方向で調査を進めます。
しかし、ここまで疑われていても後ろ暗い部分がないのであれば、堂々と調査を受けることで疑いが晴れることもあるということです。
⑤刑事裁判から判決まで
起訴された場合「刑事訴訟法」という法律では、被疑者から被告人へと呼び名が変わります。
脱税の疑いがある人物ではなく、検察が「有罪」と判断したことを表すための呼称です。
起訴されることが決まった段階で、弁護士から申請された保釈請求が認められ、保釈保証金を納付できれば、その後の裁判は自宅から出廷することが許されます。
保釈保証金は「裁判を受けさせるため」の保証なので、判決を受けた後には原則全額返還されるものです。
脱税の場合、執行猶予がつくことが多く、実刑判決になることはあまりありません。
ただし、悪質な場合や再犯の場合はその限りではありません。
脱税で考えられる罰則
脱税で有罪になった場合の罰則についてご紹介します。
場合によっては1つ以上の罰則を課せられることもあるため、基本的な脱税の罰則をみていきましょう。
①行政処分
脱税で有罪になった場合、国税通則法に則り以下の行政処分を科せられます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
- 利子税
この行政処分は「追徴課税」として知られているもので、詳細はこちらの記事をご覧ください。
③刑罰
脱税は以下の法律によって罰則が定められています。
- 所得税法第238条
- 法人税法第159条
- 消費税法第64条
どの税に対する脱税をしたかによって、適用される税法が異なります。
内容は下表の通りです。
偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告)(第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)又は第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 |
(引用:所得税法第238条1項)
法人税法第159条、並びに消費税法第64条は、上記条文と同様な内容であるため、同じ規定で定められています。
そのため、実際に課される刑罰は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、または両方を併科」となるのです。
脱税に該当する可能性が高い行為
もし今、脱税に該当するかもしれないという方は、これからご紹介するようなことをしていないかを振り返ってみてください。
万が一該当するような場合は、脱税に該当する可能性があります。
①無申告
税務申告をしていない場合は、脱税を疑われる可能性が非常に大きいです。
年間売上が20万円以下であれば申告不要となってはいますが、できる限り税務申告はするようにしましょう。
②過少申告
今期に限り過少申告してしまった場合は、修正申告で訂正すれば問題ありません。
しかし、数期にわたる過少申告は「悪質」と捉えられてしまうため、脱税を疑われる可能性があります。
③消費税還付の悪用
虚偽の取引申告は、消費税の還付を不正に受けようとする悪質な行為です。
国税庁でも問題視している不正で、国内の架空仕入れや、国外の架空免税売上によって不正な還付を受けようとする事業者が多発しています。
脱税がバレて告発される3つのパターン
脱税がバレる主なケースをご紹介します。特に最後のものは気をつけてください。
①税務調査で明らかにされる
税務調査に入る時点で、ある程度目星をつけられていることが多いです。
そのため、実施されることで二重帳簿が発覚することや、人件費の水増しが明るみに出てしまうことが告発につながります。
②査察部門に目をつけられる
国税庁の査察部に目をつけられるのは以下に挙げるような事業者です。
- 脱税の方法があまりにも悪質
- 脱税額が1億円を超えている
税務署の「注意」では軽すぎると判断された場合、査察部が乗り出してきます。
この段階で「脱税していない」と主張しても、ほとんどの場合信用してもらうことはできないでしょう。
③SNS等で目をつけられる
SNSでの発信が、事業成功への条件と捉えられる時代になりました。
そのため、不用意な発言が国税の調査網にかかり、マークされてしまうこともあるのです。
決して売上の直接的な自慢をしているのではなく、以下のような情報発信が頻繁に行われている場合、国税庁は目を光らせます。
- 高級自動車の購入
- 高級腕時計の所有
- タワーマンションでの生活風景
本人にとってはちょっとした自慢かもしれませんが、その発信にはたくさんの情報が隠されていることを覚えておきましょう。
脱税の疑いをかけられた場合は税理士に相談しよう
不正のない税務申告をしていれば、脱税を疑われることはありません。
しかし、事業者が自ら税務申告していると、どうしてもミスが発生しやすくなってしまいます。
また、意図的に不正を行える状況でもあるため、魔が差してしまうこともあるでしょう。
その結果、税務署に目をつけられてしまったり、国税から告発を受けてしまったり、最悪の場合「逮捕」され、刑事罰を受ければ「前科」がついてしまうのです。
常に適切な税務申告をするための第一段階として、税理士に経理事務の対応から税務申告までを任せることをおすすめします。
顧問契約を結ぶことで発生する費用自体も、経費として計上できるので無駄がありません。
ほんの少しの気の迷いが、大きな事件へと発展してしまいます。
正しい事業運営のためにも、税理士を活用しましょう。
税理士をお探しなら「TRUSTマーケット」
まとめ
正しく税務申告することは、決して難しいことではありません。
しかし、ちょっと魔が差しただけで、前科がつく可能性があることも覚えておきましょう。
脱税は犯罪です。
国税からの告発を受けるようなことがないように、常に正しい税務申告をするように心がけてください。
そして、その助けをしてくれる税理士を見つけましょう。
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