修正申告のメリット・デメリットは?更正処分との違いも解説
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「申告書類の内容を間違えてしまった」
- 「修正申告すると納税額は変わる?」
結論から言いますと、修正申告で申告間違いは訂正できます。
ただし、修正タイミングで課税の重さは変わる点には注意が必要です。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 税務調査後の対応は3パターン
- 修正申告のメリット・デメリット
- 更正のメリット・デメリット
申告間違いで余計な税金を支払いたくないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
税務調査後の対応は3パターン
税務調査が入ったとしても、申告内容に不備がなければ問題なく終了します。
しかし、もし間違いがあった場合は指摘を受けて、修正勧告を受けるはずです。
この税務調査後の終わり方には、以下に挙げる3パターンが存在します。
- 申告是認
- 修正申告
- 更正
それぞれがどんなものか解説します。
①申告是認
提出している全ての申告内容に間違いや計算ミスがなく、所得隠しなどの不正も確認できなかった場合「申告是認通知書」が届きます。
このパターンであれば、通知書を受け取った時点で税務調査終了です。
②修正申告
税務調査を受け、申告内容に間違いが発覚した際には、調査官から修正申告が必要である旨を指摘されます。
間違いの内容や修正方法などが具体的に説明されるので、その後に事業主は修正申告をするか判断しましょう。
基本的に修正申告が必要とされた場合は、それに応じ適切に事務処理を行いますが、修正申告は義務ではありません。
調査結果に納得ができない場合、再調査を依頼したり修正を放棄したりもできるのです。
ただし、間違いが発覚している以上、税務調査がそのまま終わることはありません。
③更正
調査官から提示された修正申告の内容に納得がいかない場合は、修正申告しない事業者も一定数存在します。
その場合、税務署から「更正通知書」が届き、追徴税額を納付するように督促されます。
この中には、以下に挙げるような理由書と、更正後の納税額も併記されています。
- 売上が計上漏れとなっている
- 原価や経費が過大となっている
- その結果、所得が少なく申告されている
記載内容に納得できれば、記載された金額を期限内に指定された方法で納付しましょう。
もし異議がある場合は、税務署長に対する再調査の請求や国税不服審判所長に対する審査請求などの不服申し立てをすることもできます。
修正申告のメリット・デメリット
税務申告内容に間違いがなければ、修正申告することはありません。
しかし、どれだけ気をつけていても間違ってしまうことはあるでしょう。
その間違いを修正申告することで発生するメリットとデメリットについて解説していきます。
①修正申告に対応するメリット
自主的に修正申告した場合、以下のようなメリットが考えられます。
- 加算ペナルティを軽減できる
- 税務署からの信用を確保できる
- 異論を唱えるより楽
修正申告するタイミングによっては、加算税を課されずに済むこともあります。
税務申告が決まった時点から調査までの間に修正申告できれば、加算税を少なく抑えることもできるでしょう。
これが税務調査後であれば、より高い率の加算税を課されます。
しかし、自主的に修正申告して納付すれば、延滞税は最小限に抑えられるでしょう。
税務署からは、納税意思がある事業者だと判断できるので信頼もされやすくなります。
そして、税務調査が入る前に修正申告を行い税金の納付を適切に済ませるということは、時間的なコストを必要としない上に、反論する労力もストレスもないので、はっきり言って「楽」です。
②修正申告に対応するデメリット
修正申告をすることで納税の義務は果たせますが、反対に失うものも出てくることを覚えておきましょう。
- 追徴課税が発生する
- 不服申し立てはできなくなる
- 修正年度の書類を作らなければならない
税務調査が入り修正申告するということは、本来の納付期限を過ぎて納付しなければならない税金があるということで、追徴課税が発生することを示しています。
また、修正申告するということは、自身のミスを認めることの意思表示なので、不服申し立てをする機会を放棄することでもあるのです。
もし異議がある場合は、修正申告するのではなく不服申し立てをしましょう。
そして、修正申告する際は、指摘された年度の修正申告書の作成が新たに必要です。
過去7年分の修正申告書が必要になる場合もあります。
更正処分のメリット・デメリット
修正申告せずにいると、その後「更正処分」に段階が変わります。
この更正処分となる段階にもメリットとデメリットがあるので、修正申告の対応をしなかった場合にどうなるかを覚えておきましょう。
更正処分となるメリット
更正処分となる場合のメリットは以下の通りです。
- 不服申し立てができる
- 不服申し立ての裁決に納得いかない場合は更に訴訟を起こすことができる
更正処分となる場合、事業者は税務調査官からの指摘に納得できていない状況です。
適切に税務申告している自信があり、指摘内容と自身の税務知識が一致しないため、言われたまま修正申告すると損をしてしまうと感じるからでしょう。
その指摘に対する反論を主張するには、修正申告を受け入れるわけにはいかないのです。
この場合、更正処分となり税務署長から一方的に課税されることとなります。
税務署長が行った処分に不服があるときは、その処分の取消しや変更を求める不服申立てを行うことができます。
3か月以内に税務署長に対して再調査の請求を行って、その決定に納得いかなければ、決定から1か月以内に国税不服審判所長に対する審査請求を行うことが可能です。
また、再調査の請求をせずに直接、審査請求を行うこともできます。
審査請求の裁決に納得いかない場合は、裁決から6か月以内に裁判所に対して訴訟を起こすことも可能です。
更正処分となるデメリット
更正処分となって、その後、不服申し立てをすることで、税務申告の正当性を主張することはできますが、必ず正当性を証明することができるわけではありません。
また、以下のようなデメリットも発生します。
- 一旦、多額の追徴税額を納付する必要がある
- 税務署からの信用が下がる
- 時間とコストがかかる
税務調査官から提示された修正申告の内容には、今後、正しく申告する見込みがあると判断されると、指導事項として過去にさかのぼって修正しなくてもいい部分があることもあります。
しかし更正処分の場合は、当局側が主張する最大金額で課税され、一旦、その更正処分が正しいものとして追徴税額の全額を納付しなければなりません。
また、当然、調査官からの指摘を素直に受け入れなかった事業者に対して、税務署は良い印象を持ちません。
信用はガタ落ちになることでしょう。
さらに、不服申し立てに要する時間は短くありません。
訴訟を起こすところまで争う場合は、訴訟費用も必要なので、決して楽な道ではありません。
修正申告するかお悩みの方は税理士に相談しよう
税務申告でミスを指摘され、修正申告をすすめられたものの、どうしても納得ができないという場合は、一度税理士の意見も参考にしてみてください。
修正申告するか、更正処分の後、不服申し立てに持ち込むか、プロから見た率直な意見を聞くことで、冷静にその後の対応に進めるはずです。
税理士に相談すると、以下のようなメリットを享受できます。
- 税務知識を踏まえた正しい判断やアドバイスをしてくれる
- 修正申告や不服申し立ての手続きの対応も依頼できる
- 税務調査前に立ち会いや準備の依頼もできる
他にも、今後の税務での困り事を相談する相手が手に入る上に、信頼できると感じれば顧問契約だって結べるでしょう。
法人化や、事業運営のアドバイスも、税理士の的確な一言があなたを助けてくれるはずです。
一人で悩まず、専門家の意見とサービスの有用性を実感してみてください。
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まとめ
税務調査官から修正申告するように指摘を受けたとしても、必ず受け入れなければならないわけではありません。
適切な税務申告をしていて、絶対に修正が必要ないとわかっている場合には、申告内容の正当性を主張して構わないのです。
ただし、税務調査官は不正やミスを見抜くプロでもあります。
どんなに事業者側が正しいと主張しても、もしかすると税法的に認められないようなミスをしているかもしれません。
その結果、主張した時間分の延滞税や追徴課税を課せられる場合もあるのです。
こんな事態を避けるためにも、税務の適正化のために税理士を利用してください。
適切な税務申告ができていれば、税務調査を受けて修正申告を促されたとしても、自信を持って正当性を主張できます。
また、税理士が事務全般を管理している事業者であれば、税務調査に入られる可能性も減らせるでしょう。
申告内容について税務署からの信用を得るためにも、税理士をご活用ください。