脱税がバレる原因3選!バレた際のリスクと今からできる対策も解説
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「脱税すると絶対にバレるの?」
- 「税務署はどうやって脱税を見つけてるの?」
結論から言いますと、脱税すれば必ずバレます。ただし、全てを随時摘発しているわけではありません。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 脱税はなぜバレる?
- 脱税がバレるとどんな罰がある?
ちょっとした脱税をしているかも?と不安があるという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
脱税はなぜバレる?原因を3つ解説
脱税をしている場合、税務調査前にはその事実はバレています。
ランダム選出で税務調査に当たってしまった場合は別ですが、脱税をしている事業者に対しての税務調査は、確実に脱税の摘発を目的として調査にきているのです。
脱税がバレる理由はいくつかありますが、多くの場合が以下にあげる3通りからの発覚です。
- 申告データの急変動
- KSKシステムによる摘発
- 第三者からの密告
それぞれの特徴について解説しましょう。
①税務申告のデータに異常な数字の変動がある
個人事業主でも法人でも、事業年度内に急に大きな売上が入ることはあります。
しかし、その売り上げに対し、利益が適切に反映されていなければ話は変わります。
実際「売上に対し、利益が少なくなってしまう」ことはおかしなことではありません。
仕入れをしたり、借入の繰上返済をしたり、支出が増えれば利益は減ります。
しかし、その減り方に違和感を覚えれば、税務調査官はその前後の期間を徹底的に調査し始めるのです。
- どんな仕入れがあったのか
- 通帳残高の動きはどうか
- 棚卸データとの矛盾はないか
さまざまな角度からデータの矛盾点を追求し「適切ではない」と判断できた場合には「脱税行為の可能性あり」として税務調査を行うのです。
②KSKシステムが異常を感知して脱税の可能性が発覚する
KSKシステムとは「国税総合管理システム」のことで、財務省では以下のように公開しています。
国税総合管理システム(以下「KSKシステム」という。)は、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力することにより、国税債権などを一元的に管理するとともに、これらを分析して税務調査や滞納整理に活用するなど、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入したコンピュータシステムである。 |
KSKシステムが導入されたことにより、これまで調査官の目視で税務申告書類を全数チェックしていたものが、AIにより一定の判断基準を侵している申告データを弾き出せるようになりました。
また、過去の膨大な数の脱税行為に類するデータの近似値を発見することで、巧妙に隠されている脱税の可能性も見つけることが可能です。
つまり、単純な方法でも巧妙に調査の目を掻い潜ろうとしても、現在は人間以上に厳しい目を持ったAIによって脱税が発覚してしまうということです。
③内部密告者のタレコミで脱税をバラされる
通常、脱税をしている事業者内部からは、声を上げる人は出てきません。
しかし、ちょっとしたことがきっかけになって、タレコミをする場合があります。
- リストラされた
- ハラスメント被害にあった
- 良心の呵責
内部からの密告はとても有力な情報ですが、中には「報復目的」で密告に走る方もいるので、明確な脱税の証拠が提示できなければ、税務署側でも即行動に移すことはありません。
ただし、その事業年度の税務申告に対しては厳しい目を向けるのは間違いありません。
その結果、実際に脱税をしていたのか、実は節税のための行為だったのかという判断をした上で、それでも「脱税行為の疑いあり」という判断になれば、その時初めて税務調査という運びになります。
脱税がバレるとどうなる?3つのリスク
税務調査に入られたことで脱税がバレてしまえば、その事業者は罰則を受けることになります。
脱税の罰則は「罰金だけでは済まない」場合もあるので、できれば適切に納税するようにしましょう。
万が一「今、脱税している」自覚があるという方は、以下に挙げる罰則を受ける可能性があることを十分に理解してください。
- 追徴課税が課される
- 刑事罰を受ける
- 社会的信用を失う
それぞれのリスクについてご紹介します。
①追徴課税が課される
脱税の罰則で最初に思い浮かぶのが「追徴課税」です。
脱税行為に「意図的な悪意」が確認できる場合は、追徴課税の中でも最も罰則の重い「重加算税」が課せられます。
重加算税一覧 | |
過少申告加算税・不納付加算税 | 納付税額の35% |
無申告加算税 | 納付税額の40% |
悪質な場合:過少申告加算税・不納付加算税 | 納付税額の45% |
悪質な場合:無申告加算税 | 納付税額の50% |
上表における「悪質な場合」とは、過去5年以内に同じ追徴課税や、重加算税を課されている場合です。
改善の見込みがないとみなされるため、10%を加算した状態で課税されます。
意図的ではなく、悪意のないミスで申告漏れをしていた場合には、それぞれ対応する加算税が発生します。
追徴課税の種類 | 概要 | 罰則内容 |
過少申告加算税 | 所得額を少なく申告した罰則 | 未納額の50万円以内は10% 未納額の50万円を超える部分は15% |
無申告加算税 | 申告期限までに申告できず、そのまま申告しなかった罰則 | 未納額の50万円以内は15% 未納額の50万円を超える部分は20% 未納額が300万円を超える場合は30% ただし、更正予知の前に対処した場合は、それぞれ5%を減算した割合で課税する |
不納付加算税 | 源泉徴収で預かった他人の税金を納付期限までに正しく納税しなかった罰則 | 未納分の10% ただし、調査前に納付した場合は5% |
②刑事罰を受ける
脱税で刑事罰を受けた際の罰則は、所得税法第238条、法人税法第159条、消費税法第64条に準じた方法で課せられます。
以下は所得税法第238条1項の条文です。
偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告)(第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)又は第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 |
(引用:所得税法 第六編 罰則 第238条1項)
つまり、脱税を行なった場合、「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科」が課されるということです。
法人税法第159条や所得税法第64条は、所得税法第238条と同様の内容であるため並列して提示されます。
③社会的信用を失う
税務調査ではなく国税庁が調査する場合、あらゆる手段を用いて脱税の事実を突き止めていきます。
その際、取引先や金融機関には早い段階で聞き取り調査や証拠の提出を求めているため、脱税した本人の知らないところで周囲に犯行が明らかになってしまうのです。
国税庁に調査される時点で、脱税額が1億円を超えているということも把握されてしまいます。
一般的に、そのような相手との取引を今後も続けようとは思わないため、自らの行いのせいで信用を失ってしまうということです。
実際に脱税がバレて罰せられたケース
過去に実際に起きた脱税に関する判例をご紹介します。
①令和3年(わ)特 第1495号事件
令和3年12月10日に結審したこの事件は、所得隠ぺいによる過少申告が発覚したものです。
会社と代表取締役それぞれに刑罰が下されています。
被告人A有限会社を罰金3000万円に処する。 被告人Bを懲役1年8月に処する。 被告人Bに対し,この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 |
(引用:令和3年特 第1495号 各法人税法違反,地方法人税法違反,消費税法違反, 地方税法違反被告事件)
会社には3,000万円の罰金、代表取締役には懲役1年8ヶ月が下されています。
ただし執行猶予が3年ついているので、問題を起こさなければ1年8ヶ月の実刑は免除されるという判決でした。
②平成29(わ)第4074号事件
平成31年3月18日に結審したこの事件は、架空の業務委託費による所得隠ぺいをしていた上に、申告内容にも意図的な改ざんが5年にわたって確認された事件です。
脱税額は1億7,000万円を超え、会社と代表取締役にそれぞれ刑罰が下されています。
被告人A株式会社を罰金2,000万円に,被告人Bを懲役2年及び罰金3,000万円に処する。 被告人Bにおいてその罰金を完納することができないときは,金10万円を 5 1日に換算した期間,同被告人を労役場に留置する。 被告人Bに対し,この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 |
(引用:平成29(わ)4074 各法人税法違反,消費税法違反,地方税法違反)
このケースでは執行猶予がつかなかったため、代表取締役には3年の実刑判決及び3,000万円の罰金が課されています。
また、会社にも2,000万円が課せられているため、トータル5,000万円もの罰金が発生した事件です。
脱税はいずれバレる!今からできる対策は?
KSKシステムの導入から、脱税で逃げ切ることは事実上できないものと考えてください。
もし、数年間小さな脱税をしていても税務調査がきていないとしても、負担額が最大になった時には税務調査に入られると思って間違いありません。
そんなリスクを負ってまで不正を働いても、後で必ず後悔します。
そのため、今できる対処を進めておくことをおすすめします。
①過去7年分の不正を修正申告しよう
今、税務調査の通知を受けていないのであれば、早々に修正申告をして「自主的に不正を正す」ことをおすすめします。
10年以上不正を行なっているのであれば、最低でも過去7年分の修正申告をすることで、万が一税務調査の通知を受けたとしても被害を抑えることが可能です。
事前通知を受け取ってしまうと、その時点で追徴課税の税率は大きくなってしまいます。
早めに対処すれば、課税率が最悪の状態まで膨れ上がる前に処理できることを覚えておきましょう。
②不安な方は税理士に相談しよう
脱税をしている可能性を感じている方は、税理士に相談することをおすすめします。
なぜなら、実際に長期間不正を働いていた場合、事業者が修正申告するよりも税理士の署名がある状態の方がスムーズに処理が進むからです。
税務署も、税務の専門家が責任持って対処したものであれば、安心して申告を受け入れやすくなります。
少しでも不安がある方は、一度税理士に相談してみてください。
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まとめ
脱税をすれば、一時的には納税額が少なく済むかもしれませんが、最終的には降りかかる罰則の重さで苦しむことになってしまいます。
もし、節税をしながら事業運営をしたいという思いがあるのであれば、税金の専門家である税理士に相談しましょう。
少しでも税金を抑える方法を見つけてくれます。
また、より条件の良い方法での事業運営ができるように、あらゆる角度からアドバイスができる税理士もいます。
脱税をするのではなく、真っ当な方法で税金を減らす方法を見つけてみませんか。