税務調査の概要と対象になりやすい法人・個人の特徴について
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「税務調査ってそもそも何?」
- 「今からできる対策は?」
結論から言いますと、税務調査は「正しく税務申告できているかを確認するための訪問調査」のことです。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- そもそも税務調査とは?
- 税務調査の対象になる特徴とは?
- 税務調査の対象にならないためにできることとは?
税務調査の実態を理解したいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
そもそも税務調査とは?
税務調査は「税務申告の正しさを確認するための訪問調査」のことです。
「税務調査によって追徴課税を受けた」ことや「マルサに摘発されて逮捕された」という大きなニュースを耳にしますが、全ての税務調査が事業者の悪事を暴くためのものではありません。
むしろ、税務調査の多くは「事業者が適切に税務申告をするきっかけ作り」だと思っても良いでしょう。
税務署が監視していることをアピールすることで、不正を行わないようにする抑止力が税務調査です。
では、税務調査について解説していきます。
税務調査は2種類
税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。
一般的に行われている税務調査のほとんどは「任意調査」です。
そして、通称「マルサ」によって逮捕者が出るのが「強制調査」と呼ばれています。
強制調査と任意調査に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。
関連:
税務調査が入るタイミング
税務調査は毎月どこかで行われているというようなものではなく、調査を実施するタイミングや時期というものが存在するのです。
よくあるタイミングとしては、会社の決算後・個人事業主の確定申告後となる「4〜5月」が挙げられます。
多くの会社が3月を決算に設定していることもあり、たくさんの税務申告が集まった後なので対象を選びやすいのが、この時期に税務調査が行われる理由です。
また、国税局や税務署の人事異動が完了する「7〜11月」も税務調査が行われやすいでしょう。
税務調査に選ばれる確率
税務調査に選ばれるのは、実際問題「かなり低い確率」であるということを覚えておきましょう。
これは個人・法人に関係なく、とても低い確率です。
例えば、令和5年11月に公表された「個人」を対象に実施された税務調査は、なんと「約0.7%」という確率でした。
総数653万件の個人事業主からの確定申告に対し、4.6万件の税務調査が実施されました。
一方、同時期に公表された「法人」を対象に実施された税務調査は「約2%」と、個人に比べれば多い値ですが、それでも1割以下しか税務調査が入っていないのです。
312万件の決算申告に対し、実施されたのは6.2万件ほどでした。
税務調査に選ばれる確率について、より詳しく解説している記事がありますので、詳細はこちらでご確認ください。
関連:税務調査に選ばれる確率
税務調査の対象となる法人の特徴
税務調査の対象になりやすい法人には3つの特徴があります。
- 不正が多い業種
- 帳簿データの異常
- 過去に重加算税を課されている
これらに該当する法人は、税務調査の対象に選ばれる確率が比較的高いです。
その理由について解説しましょう。
①不正が多い業種
どれだけ自身が適切な税務振興を心がけていたとしても、業界全体で見た時には9割が不正を行なっているのであれば、全数チェックが必要だと判断されてしまいます。
それと同じ原理で、他業種に比べて不正数が多い業種は税務調査の対象を増やして、不正を行わないように注意喚起をしているのです。
仮に100件の調査を行い、全数に追徴課税や延滞税が発生すれば、とんでもない税金が徴収されます。
それを見た対象外の同業者は、最悪な状況に陥る前に修正申告すべきだと行動を起こすわけです。
中には「見つからなければ大丈夫」という独自理論から、以降も不正を行い続ける場合もあります。
②帳簿データの異常
帳簿データに異常な値動きがあればSKSシステムによって弾き出されます。
その結果、税務調査が必要だと判断されるのです。
帳簿データの異常には、以下のようなものが挙げられます。
- 売上の急増
- 売上と利益率のバランスの悪さ
- 特定の経費の突出
これらは、SKSシステムによって「要調査対象」として表示される原因です。
実際に適切な事業運営を行なっている上で、このようなデータになる場合もあるため、過去のデータや同業他社のデータと比較して対象を吟味しています。
③過去に重加算税を課されている
一般的に、過去5年以内に重加算税や追徴課税を賦課されている場合は、税務調査後5年以内に再調査に選ばれる慣習があります。
これは、事業者の更正を確認するための調査で、ここで改善されていなければ、問答無用で重加算税を課されることもあるのです。
税務調査の対象となる個人の特徴
税務調査の対象になりやすい個人の特徴を3つご紹介します。
確定申告をしていないケースや経費の不明瞭なケースも挙げられますが、ここで挙げるのは「それ以外で近年の特徴的な個人の税務調査対象者の特徴」です。
- 仮想通貨トレーダー
- 海外トレーダー
- 投資家
それぞれの特徴を見ていきましょう。
①仮想通貨トレーダー
仮想通貨は、通常の投資物件とは異なる税制によって管理されています。
そのため、実際の課税額を適切に把握できていないトレーダーが多いのです。
確定申告はしているものの、実際には過少申告してしまっているケースが非常に多く発覚しています。
令和3年度の税務調査では、仮想通貨トレーダーに対し444件の税務調査が実施されました。
その際、1件あたり3,659万円の申告漏れが確認されているのです。新しい投資先であり、税制が異なるという事実が浸透していない証拠です。
②海外トレーダー
海外投資は、国内投資よりも利益率が高く設定されているものも多く、タックスヘイブンを活用して税逃れを図る個人が一定数存在します。
しかし、実際には日本国内で行われた取引であるため、理想とする取引ができないというのが現実なのです。
令和3年度に行われた海外トレーダーの税務調査実施数は2,043件に上り、1件あたり3,690万円の申告漏れが確認されています。
③投資家
投資といってもさまざまなものがあります。
不動産投資や株式投資、最近ではカードゲーム投資やWeb3なども投資対象です。
これらは「譲渡所得」で利益が生まれます。
中には賃貸借による家賃収入の場合もありますが、どれもが「所得税」として扱われています。
そして、譲渡所得によって利益を得ている投資家に対し、令和3年度には16,714件の税務調査が行われました。
その内「約8割」にも申告ミスが確認されています。
税務調査の流れ
税務調査を実施する際の流れについて、簡単に覚えておきましょう。
- 税務署より事前通知が届く
- 実地調査
- 指摘事項に対する受け答え
- 調査結果告知
より詳しく税務調査の流れを知りたい方は、こちらの記事を確認してください。
※リンク
税務調査の対象にならないためにできること
所得があり税務申告をする義務がある方であれば、全員が税務調査の対象になり得ます。
その上で、税務調査の対象にならないためにすべきことを覚えておきましょう。
- 正確な申告を心がける
- 添付資料を揃える
- 不安なら税理士に税務を依頼する
それぞれを簡単に解説します。
①正確な申告を心がける
税務調査は、申告内容に不正がなければ選出される可能性はとても低いです。
不正をせず、正しく税金を納めていれば、基本的にSKSシステムにかかることも、調査官に目をつけられることもありません。
②添付資料を揃える
帳簿が正しいだけではなく、記載事項の根拠を提示することで初めて「正しい」と判断できます。
売上は金融機関の履歴で確認できますが、経費計上の根拠は領収書のような「支出の証拠」がなければ証明は難しくなります。
しっかりと管理しておきましょう。
③不安なら税理士に税務を依頼する
税務申告に税理士の署名があるだけで、税務署からの信頼性が変わります。
税務の専門家が管理している申告内容であれば、基本的に間違いはないと判断できるからです。
個人や会計担当者が行なったものと、税理士の署名があるものとでは、税務調査の必要性を考えた際「個人や会計担当者が行なったもの」の方が必要だと感じるのです。
税理士をお探しなら「TRUSTマーケット」
まとめ
税務調査は、事業により所得を得ている全ての方が対象だということを覚えておきましょう。
その上で、できる限り対象に選ばれない対策として「正しい税務申告」が重要です。
もし税務申告に自信がないという場合は、税理士のスポット契約サービスを利用するという方法があります。
顧問契約を結び、毎年更新すると経費がかさむと心配であれば、まずはスポット契約で税務申告を乗り切るのは、税務調査回避にも有効です。
今後、会社設立も視野にあるという方は、早めに税理士とのつながりを持つことも考えましょう。
法人化に強い税理士もたくさんいます。
一度、TRUSTマーケットであなたにあった税理士を探してみませんか。