「税務調査が来たことない」個人事業主必見!今からするべき対策を紹介
この記事をご覧の方は、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 「税務調査が来ないことは問題ないってことじゃないの?」
- 「これから狙われる可能性はあるの?」
結論から言いますと、今後税務調査が入る可能性は大いにあり、もしかすると現在強制調査に入るための材料を 集めているかもしれません。
本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 「税務調査が来たことない」はどれくらいの確率?
- 税務調査で狙われやすい個人事業主の特徴
- 税務調査にこれからも入られないようにするために
税務調査が来ることを前提に対策をしていきたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
「税務調査が来たことない」はどれくらいの確率?
個人事業主やフリーランスに税務調査が入る確率は、令和3年度の国税庁が発表しているデータから「0.5〜1%」程度の非常に低い確率だと考えられます。
下表は、令和3年度に行われた個人を対象とする税務調査の実績と、確定申告をした個人事業者の数です。
令和3年度の税務調査実績 | 3.1万件 |
令和3年度に確定申告した個人事業者数 | 656.9万人 |
参考元1:国税庁 令和3年事務年度 所得税及び消費税等の状況
参考元2:国税庁 申告所得税標本調査(令和3年度分調査)
税務調査で狙われやすい個人事業主の特徴
個人事業主やフリーランスの中でも、税務調査の対象として選ばれやすい特徴がいくつかあります。
狙われやすい特徴を知って、ご自身の事業が当てはまっていないか確認してみましょう。
①そもそも確定申告をしていない
税務署は、事業者が確定申告をしなくても事業実態があることを確認できます。なぜなら、取引相手が適切に確定申告をしているからです。
自分が確定申告をしていなくても、取引相手の申告内容からどれだけの売上があるのか把握されてしまうので、不正をしていることはバレます。
②過去に申告漏れが多い業種で事業を営んでいる
申告漏れが多い業種は、税務調査の対象になりやすい傾向にあります。どれだけ自分自身が正しい税務申告をしていたとしても、ミスが多い業界という括りで判断されてしまうからです。
具体的には、以下の業種が過去に申告漏れやミスが多くなっています。
- 飲食店
- 酒屋
- 美容院
- 風俗業
- 貸金業
- 建設業
- IT関連企業
これらの業種は、国税庁が発表している「法人税等の調査事績の概要」の中でも、税務調査の対象になりやすいことが判明しています。
③近年人気が広がっていて経済活動が活発な業種
過去に目立たなかった業種でも、近年人気が膨らみ新たな参入者が増えているような業種の場合、税務申告のミスが頻発する傾向にあります。
そのため、状況の情報収集や分析のために税務調査の対象として選ばれやすいです。
令和3年度調査の「国税庁 令和3年事務年度 所得税及び消費税等の状況」の中で、
- 民泊
- シェアリングビジネス
- アフィリエイト
- ネット広告
- ネットオークション
これらを扱っている個人に対する税務調査が839件実施されています。その中で発覚した不正やミスから、22億円もの追徴課税が課せられている状況です。
④売上1000万円にギリギリ満たない申告内容
個人事業主は売上の操作がしやすいため、消費税の納税義務が発生しないギリギリで申告するケースがあります。
これは意図的な税金逃れとなるため、過少申告ではなく重加算税に該当する可能性がある行為です。
この行為が「意図的である」と判断された場合、過去7年を遡って修正申告しなければならず、最悪の場合「数百万円から数千万円」もの追徴課税を課される可能性もあります。
⑤計上されている経費に不審点が多い
経費として計上されている情報が業種的にミスマッチな場合、税務調査で実態を確認した方が良いという判断を下されます。
比較的多いのが「交際費による不正経費」です。
業種的に交際費の発生が少ないことが過去のデータからわかっている場合、同業他社に比べ交際費が以上に多く計上されていれば不審に思われます。
また、仕入れを要する業種であるにも関わらず棚卸資産が少ない場合や、時には全く申告されていない場合も同様に不審に思われるでしょう。
⑥取引に銀行を用いらずに現金商売に徹底している
現金による取引は、領収書を介した場合でも実際に額面通りの取引が行われているとは限りません。そのため、現金取引ばかりする事業者は厳しい目でチェックされます。
銀行取引の場合、口座間でのやり取りとなるため、実際に動いた金額が銀行の履歴によって証明されることで信憑性のある取引になります。
しかし、現金取引では事業者による手書きや手入力によって額面を記載されるため、実際の金額とは異なるケースがあるのです。
実際の金額よりも領収書の額面を下げて記入し、売上を圧縮する不正が行えるために現金商売に徹底している事業者は税務調査の対象にされやすくなります。
⑦開業3年以上で売上が安定して増加している
開業3年以内に税務調査が入ることはまずありません。それは、年間1000万円以上の売上を上げていても、消費税の納税時期が3年後になるからというのが大きな理由です。
事業開始から3年が経過する頃は、売上を伸ばしている事業者がより一層成長する時期でもあります。そのため、経理作業に手が回らなくなり、ミスが発生しやすい時期だと税務署側でも把握しているのです。個人の場合は特に、経理を後回しにする傾向にあります。
⑧税理士と顧問契約を結んでいない
税理士がついていない個人事業主の経理処理は、一般的に杜撰な状態が多いため、細かなミスが比較的多いです。白色申告事業者から青色申告事業者に変わった個人では、資料が不足しているということはよくあります。
顧問税理士がついていればこのようなミスはほぼ発生しませんが、税理士報酬を渋る個人事業主はミスしたまま確定申告を進めることが多いため、結果的に税務調査の対象に選ばれてしまうのです。
顧問税理士を持たなかったことで税務調査が入りやすくなり、修正申告や経費の否認、追徴課税といった不測の事態に慌てることになるので、できれば顧問契約しておくことをおすすめします。
税務調査にこれからも入られないようにするために
「狙われやすい事業主の特徴」に該当していなくても、税務調査がくることはあります。
これからお伝えする内容も併せて対策していくことで、税務調査の対象になりづらい事業運営を心がけましょう。
①正しい知識に基づいて記帳を行う
経理書類が間違っていると、確定申告の際にも間違った情報で申告することになります。確定申告の間違いは税務調査の対象になる最大の原因となるため、日頃の記帳は正しい知識に基づいて行うようにしましょう。
正しく記帳されていれば、申告時に間違いが発生しづらくなります。
②意図的な過少申告や無申告はしない
意図的に事業実績を偽ることや隠すことは、最悪の場合刑事告発にまで発展する重大な問題となります。絶対にやめましょう。
申告漏れやミスによって過少申告した場合には、規定の罰則が発生します。
しかし、意図的に不正を犯した場合に発生するリスクに比べれば、ペナルティの大きさはとても小さなものです。
③確定申告では詳細に記入する
様式に沿って正しく申告するだけで確定申告は完了します。しかし、申告した内容によっては部分的に差し戻されることもあるため、国税庁から指摘を受けそうな経費などは事前に詳細な情報を付け加えておくのが好ましいです。
これまでの確定申告でも記入してきた未収金や未払金、過去に例を見ないような異常な数値は、できるだけ詳細な情報を付け加えておくことで、申告内容の信憑性を引き上げます。
勘定科目も、できるだけ正確に仕訳ができている方が望ましいです。
④税理士に相談する
「個人事業主やフリーランスが抱えられる仕事量で税理士を使うなんて」という固定観念は捨てましょう。
正しい税務申告や事業運営の方が重要です。早い段階で事業を理解してもらうためにも、できるだけ早く付き合いの深い税理士を作っておくことをおすすめします。
税理士は税務ばかりではなく、事業を正常に進行するためのアドバイスや、事業拡大の相談にも乗ってくれる強い味方です。
まとめ
これまでに税務調査がきたことがないとしても、もしかすると今後どこかで事前通知が届くかもしれません。下手をすれば、事前通知もなく強制調査に入られる可能性も0ではないのです。
個人事業主やフリーランスであっても、懇意にできる税理士は早い段階で見つけておきましょう。
税理士に相談する際に事業の大きさは関係ありません。安全に事業を営み、正しく納税義務を果たすことは、事業者自身の精神的ストレスを解消する大きなメリットです。
税務調査に怯えるのではなく、税務調査が来ても不安にならずに済むように税理士というパートナーを手に入れてください。